第2話 職探し

俺はかなり悩んでいた。


どうしようか…?

でも、稼がなきゃ…


でも、俺は召喚魔術師で…

今までに召喚したのは、セイントラビだけだ…

セイントラビは、探知、鑑定、回復に特化した召喚獣で、戦闘にはほとんど力がないのだ。


どうしようか…?


しかし、俺は召喚魔術師だし…

冒険者として生きていくしか無いだろうし…

それに、俺だって…

そのつもりで…


じゃあ、どこかのパーティに入るか?

いや、もう、閃光から追放された事はこの街では知れ渡っている。

Cランクパーティから追放された俺を、どのパーティが雇うのか…?

Eランクパーティにでも頭を下げるしか無いな。

それでも…

召喚魔術師を雇うのか…?


分からない…


とにかく、この街には3つのEランクパーティがある。

そこを当たってみよう!

そう考えて何とか眠りについた。


♦︎♦︎♦︎


翌朝、俺は宿屋の食堂で朝食を食べながら、パーティのパンフレットに目を通していた。


Eランクパーティ・『陸空海』

4人のパーティで、光の剣士、盾屋、薬草術師、弓手、が居る。

バランスの取れたパーティだが、攻撃力に難あり。


Eランクパーティ・『ハイスコア』

5人のパーティで、闇の剣士、眠りの魔導師、マジックガン、回復魔導師、封術師、が居る。

動きを封じてからの特攻が得意。

欲しいのは補助系の役割。


Eランクパーティ・『マジックハンド』

黒魔導戦士、白魔導師、付与魔術師、回復師、ボーガン使い、から成る5人のパーティ。

魔術に特化しており、欲しいのは近距離の戦士型。


とある。


とりあえず、陸空海に向かってみた。

陸空海は、教会の裏部屋を事務所にしており、お世辞にも立派とは言えない。

なんて事、俺が考える方がダメだよな…


そう思いながら、ドアをノックする。


「?

誰ですか?」


「あ、えと、元閃光パーティの者です!

新しいパーティを探してて…!」


「だってー。

ルークどうするぅ?」


女性は背後の席に座るルークという人物に声をかけた。

恐らくこのパーティのリーダーだ。


「悪いけど、間に合ってるよ。

こちらが欲しいのは、戦士か剣士でね。」


門前払いされた…


そんなこんなで、その後に面接に向かった3つのパーティは全滅。

Eランク以下のパーティは無いし、これで俺は完全にニートになったという訳か…

笑えないよな…


はぁぁぁあ…

深いため息を吐きながら、公園のベンチに座っていると…


1人の人物が背後に立って居た…!


!?

いつから…!?


「へぇ、中々察知は早いではないですか。」


「あ、あなたは…?」


銀髪の長い長い髪を一つに結んだ、美形と言っても差し支え無い容姿の男性だった。


「これは失礼。

私はバーベル=K=フラランクと申します。」


「え、あ…?

パーティ統括所の副所長の…?」


「おや、私の名前をご存知ですか?

それは恐縮です。

エルウィー君。」


彼はあくまでも礼儀正しくそう言った。


「え、なんで、俺の名前…?」


「あなたに渡す物があります。

華魔鬼凛への紹介状です。

これを持ってパーティ・華魔鬼凛への門を叩きなさい。

捨てる神あれば、拾う神という奴ですね。

では、役目は果たしましたので、これで。」


「えっ!?

あっ…!!」


俺の胸ポケットにはいつのまにか紹介状が入って居た…

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