雑魚と蔑まれた召喚魔術師が最強の力を発揮する時

Erily

第1章

第1話 パーティ追放

「えっ???…」


「聞こえなかったのか…?

ク・ビ・だ。」


「ク、ク、クビ…っ!?」


俺は思わずそう聞き返した。


「何度言えば分かるんだ?

お前みたいな能無しの雑魚召喚魔術師は、このパーティには必要無いんだよ!」


「で、でも…」


「あぁ?

何か不満があるのか!?

ここまで使えない無能のお前を良くしてやった俺たちに、ツバ吐く訳か?」


「い、いや、違うよ…

でも…」


「しつこいんだよっっっ!

もう、既にお前の後釜は見つけてある。

赤魔導師のステラだ。

戦闘にも回復にも特化している、超優秀な魔導師だ。

お前の居場所はもう無いんだよっ!

とっとと出ていけ!

虫けらが!」


俺は閃光スパークルのパーティリーダー・ジャスクに腹を思いっきり蹴られた。


「ごほっ!ごほっ!

…、お、お、お世話になりました…」


俺はそう言って3年勤めたパーティ・閃光スパークルを後にした…


俺の名前はエルウィー=S=ロロドロア。

召喚魔術師として、閃光パーティに所属していたが、たった今クビになった。


どうしようか…?

銀貨2枚という給料を何とかやりくりしていたけれど、貯金は銀貨20枚程度…


召喚魔術師なんて、訳の分からない役割の俺を雇うようなパーティなんて、どこにも無いよな…


俺はトボトボと歩いていた。


♦︎♦︎♦︎

sideバーベル


「アルツメイドさん、どうかされたんですか?」


「いや、この報告書だが…」


「報告書?

パーティの物ですか?」


「あぁ、深淵の森・キラーの中腹までの道筋を完璧に地図化してやがる…

一体どこのパーティだ?と思ったら、Cランクパーティの閃光スパークルというらしい。

しかし、聞いた事も無いパーティだが…

お前さん、知っているか?」


アルツメイドさんは言った。

アルツメイド=K=ダーライス。

この島のパーティ統括所の所長であり、元々はSランクの冒険者である。


「閃光、ですか…

知ってはいますが、最近Bランクへの昇格申請を行っていますね。

大して目立つパーティでは無かったと思いますが…

深淵の森・キラーを地図化ですか…」


確かならば、それは至難の業であるはずだ。

一体どんな能力を有する者が居るのか?


「報告書の作成者は、エルウィー=S=ロロドロア、とあるな。」


「エルウィー?

あぁ、その者は閃光パーティを最近離れていますよ。」


「どういう事だ?」


「体の良いクビでしょうね。

召喚魔術師だったと思いますよ、確か。」


「エルウィー…

召喚魔術師…か…

…彼に、華魔鬼凛カマキリの紹介状を渡してくれ。」


「はぁ…?

しかし、華魔鬼凛は…

Sランクパーティですよ?

そんなところで彼がやっていけるでしょうか…?

いくら報告書が素晴らしかったと言って…」


「ダメならばすぐ追い出される。

華魔鬼凛はそういう場所だろう。

問題無いはずだ。

華魔鬼凛のリーダー・シュアララルには俺から連絡しておく。

お前さんはエルウィーにコンタクトを取ってくれ。」


アルツメイドさんはそう言って、報告書を閉じた。

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