侵略は女に尻を叩かれて……


 この不用意な一言の利用方法のおかげで、アマテラスさんとヴィーナスさんの『つるし上げ』が有耶無耶にされたわけですが……


 『聖水』はサリーさんの指示で、ハウスキーパー事務局が徹底的に利用したようです。

 マレーネさんまで巻き込んで、なんと練り香水、『ゴールドロータス』に精製、これをラグナロク戦争戦功賞記念品して、四葉のクローバー型ロケットに詰め配布、合わせて少量ですが、『聖水』も充填されて配布されています。


 この『聖水』を未開封でハウスキーパー事務局に提出すれば、即金で金貨一枚、その場で買い取る……これが一時金の代わりだそうです。

 これにはエンプレス、つまヴィーナスさんと兵士自身の二人で撮った写真も収まっています。


 ラグナロク戦争戦功賞記念品授与者とは別に、ラグナロク戦争戦勝記念品として、『ゴールドロータス』に似た、『ブルーロータス』という練り香水をつめた、ハート型ロケットを全ての現役ウイッチ関係者、一般女官、執政官府、管理官府に所属するものまで配布するようです。

 ラグナロク戦争戦功賞記念品の『ゴールドロータス』がなくなったら、ハウスキーパー事務局に申し出ると『ブルーロータス』を詰めてくれるようです。


 不用意な一言の利用方法については、ヴィーナスさんの提案による一斉夜伽が、『百合の会議』で可決……寵妃さんの怒りは収まったようですが、実際はこの案、強要されたのですからね……

 

 実際は、夜伽が強化されたわけで、ヴィーナスさんの負担が増えるばかりなのです。

 

 そして問題の『お手付きの資格』については、『散茶(さんちゃ)』とよび、全ての女官において、『散茶(さんちゃ)』を獲得したものは、たとえ管理官府職員であっても、寵妃候補名簿にのせる。


 例えば末女が『散茶(さんちゃ)』を獲得すれば、『散茶末女』と呼び金貨一枚を当該年度の年収に加算となります。

 それに合わせて寵妃候補名簿の規定も変更、その中で『散茶二度取得した献上品出身者』の寵妃無条件昇格が盛り込まれたのです。

 さらに後日、三度散茶、四度散茶も多少形を変えましたが、ほぼ認められたのです。


 一般婦人戦闘団員は『端女(はしため)』ですが、サバトの結果、『散茶(さんちゃ)』となった婦人戦闘団員は散茶端女となります。

 これを利用して、事務局は各地の婦人戦闘団の散茶端女の中から希望者を募り、未開発惑星の軍事監視官として任官させるという、未開発世界軍事監視官制度をひねり出したのです。

 婦人戦闘団員は宣誓戦女ですから一級市民の扱い、まして軍人さんなので貨物鉄道に乗車させても矛盾はないという訳です。

 もちろん、婦人戦闘団所属の『格子』クラスも希望すれば対象ではあります。

 

 軍事監視官の必要性を認めてはいましたが、誰でもとはいきません。

 人手不足があまりにひどく、いつも沙汰止みだったのですが、人手の目途がつきやっと実現したのです。

 どんどんとヴィーナスさんの負担が増えるのですね。


 一斉夜伽の件や『聖水』の件などで、『百合の会議』の風当たりも有耶無耶になり、なんとなくロマーニャ・ハレムが認められ風当たりも柔らだようです。


 『散茶(さんちゃ)』からの寵妃無条件昇格の道が開けた以上、『ネットワーク審議会』はファウスティナの多大な尽力を認め、惑星ロマーニャ直轄惑星昇格を承認しました。

 ただここでもロマーニャ・ホームの設立については、『百合の会議』は承認しましたが、『ネットワーク審議会』の承認が必要と意見がつき、当面はロマーニャ・ハレムはニライカナイ・ホームへの所属となってしまったのです。


 「何としても、『ネットワーク審議会』の承認を得なければなりません!」


 ファウスティナのこの決意が、ローマ・レムリア帝国を動かすことになりました。


 栄光あるローマ・レムリア帝国は、女神ウェヌスの絶大な加護を受け、膨張を始めたようです。


 女に尻を叩かれ、ローマの男どもは意気軒高のようですね……


 FIN

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