直轄惑星の案件


「お帰りなさい、どうでしたか?」

 『ウェヌスの侍女、次席賢者、イシス神官長、側女、サブウェイティングメイド』ドルシッラが声をかけました。

「ウェヌス様のお口添えで加盟は認められたけど……直轄惑星については条件がついたわ……」

「条件?」


「ロマーニャの代表として、今のローマ・レムリア帝国は役不足……」

「役不足?」


「そう……アウグスタ婦人兵団のウェヌス・エリュキナ神殿警護隊とアルビヌス正帝の活躍で、ユランとスカディナヴィアは占領したけど、ゲルマニアもカレドニア――スコットランド――もヒベルニア――アイルランド島――も……ローマ・レムリア帝国の範囲ではない……」

「まあ、ゲルマニアの奥地までは云われなかったけど……パルティアもローマ・レムリア帝国に膝を屈しているわけではないといわれた……」

「パルティアですか……」


「まだあるのよ……インドのクシャーナはどうするのかと……」

「インド……ネットワーク審議会はアレクサンドロス3世――アレクサンドロス大王のこと――の大遠征をも越えろと……」

「その通り……」


「この世界でローマ・レムリア帝国が唯一の代表と認められるためには、いまいった地域を征服、または従属させねばならない、といわれたのよ」


「まぁヌビアの奥のアクスム王国とか、アラビアのヒムヤル王国やサバア王国などは云われなかったけど」

「正直、聞いたことのない名前ですね……」

「あの地域はメロウ王国が友好的なので十分だそうよ」


「なんとかニゲル帝に遠征をお願いしなければ……でも、大事業になりますね……」

「戻る前にニライカナイで、アマテラス様にお目通りして、軍事的な協力をお願いしたのだけど……」


「断られたのですか?」

「協力してくださるそうよ、プラネテスの軍事顧問団の派遣を命じてくださったわ……」


「アマテラス様は、このロマーニャハレムの設立に多大な尽力をしてくださった方、ありがたいことですね!」


「でもね、一つ、釘をさされたのよ……」

「軍事顧問団を派遣して助力はするが、あくまで自らが行うこと……プラネテスの軍事顧問団は現地の婦人戦闘団をテコ入れするだけ……」


「どういうことですか?」


「ローマ・レムリア帝国の軍団に手に余ることが起こっても、軍事的な助力はするので、なんとか婦人戦闘団の段階で解決せよ」

「でなければ自らの力で、惑星世界の統一政体となったとは認められないとなる」


「なるほど……」

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