例の秘密兵器
部隊はその夜のうちに森の出口まで移動、夜陰に乗じてヌミディア女騎兵隊はジュート人部隊の野営地に迫ります。
『オートホース』には暗視装置もついており、さらにサルマタイ婦人騎兵隊が調べてきたジュート人部隊のデータを共有、自動で案内してくれます。
全員、配布された暗視ゴーグルを着けています。
サングラスのようですが、ネットワーク製のもので性能は大したものですよ。
ガウダは部下に暗視ゴーグルを着けるとともに発砲は禁止、四四式騎銃改のスパイク・バヨネット――刺殺用銃剣――で刺殺を命じています。
「いいか、一撃で仕留めろよ、声を上げさせるな、砦にきずかれては作戦は台無しだからな」
ヌミディア女騎兵隊はガウダの指揮のもと、静かにジュート人部隊の野営地を襲いました。
粛々とテントごとに始末していきます。
ジュート人部隊は軽装歩兵ばかりであるが、部隊規模は三個コホルス、最初の敵コホルスは見事に成功。
「味方の被害はないな、よし、次の敵に向かう」
ヌミディア女騎兵隊は次のジュート人部隊の野営地を襲います。
二番目の敵コホルスも見事に無音で殲滅したのですが……
「まずいな、夜が明けてきたぞ!とにかく最後の敵コホルスを始末しよう」
ヌミディア女騎兵隊は最後のジュート人部隊の野営地を襲いましたが、起きていた敵兵がちらほら……
「敵だ!」
叫んだ敵兵士を突き刺したのですが、声が聞こえたようです。
寝起きを襲われた最後のジュート人部隊は多少抵抗しました。
その叫び声がサルマタイ婦人騎兵隊に聞こえたようです。
アキリアさんが、
「ヌミディアの連中が苦戦しているようだ、助けに行くぞ!」
「私は第四、第五デクリオを率い、守備兵が出てきたら秘密兵器を使いわが隊の後方を守る!」
「オプティオは残りの者を率いヌミディア女騎兵隊に合流、ガウダの指揮に従え!」
サルマタイ婦人騎兵隊はヌミディア女騎兵隊を助けるために、森から出るとそのまま砦を背にして上流の林へ向かいます。
「『オートホース』を砲撃体制にせよ!」
アキリアの命令で『オートホース』の頭から小さい迫撃砲のようなものが出てきます。
八九式重擲弾筒改……ネットワークがとことん手を入れたという代物……
四四式騎銃改の狙撃眼鏡とも連動しており、『オートホース』のAIが全自動で照準を合わせます。
『オートホース』に騎乗、走らせながらも砲撃できるのです、しかも弾薬は次々と転送装填されるという優れもの。
もちろん四四式騎銃改の狙撃眼鏡のデータが連動しなくても、オートモードで勝手に照準を合わせますが、この場合、優先順位はAIが決めることになります。
八九式榴弾も大改良されており、最大射程は3,200メートル、有効半径は25メートル、八九式榴弾改となっています。
炸薬はなんとオクタニトロキュバン……ウェヌスさんが惑星アールヴヘイムンの内戦の時、勝手に作った火薬です。
廉価で量産可能で、なぜか安定しています、マレーネさんが感心していたという代物、なんせTNTに換算できるRE係数で2.38、つまりTNTの2.38倍の威力――一説には2.7倍とある――です。
電子励起爆薬というものも開発されていますが、これはあまりに惑星ロマーニャではオーバースペック、なんせ戦術核なみの威力ですからね……
「やはり出てきたか!全員騎乗、『オートホース』に照準を任せよ!城門から出てきた敵の守備兵を目標に砲撃させよ!」
「各員は近づいてくる敵を銃撃せよ!」
秘密兵器、八九式重擲弾筒改は大変な威力と判明しました。
城門から出てきた敵守備兵は大打撃を受け、蜘蛛の子を散らすように敗走、砦に逃げ帰り始めます。
そこへ最後のジュート人部隊を片付けたヌミディア女騎兵隊と、サルマタイ婦人騎兵隊の残余部隊が駈けつけてきました。
「アキリア!このまま敗走する敵を追いかけて城門を突破しよう!」
「承知!」
ガウダが、
「全軍、『オートホース』を砲撃体制にせよ!砲撃しながら突撃!」
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