斥候が得意なのは?


 両隊に支給されているのは、モンスターシルク製の全身タイツ、瞬時に『よりしろ』効果を発揮する、琥珀ペンダントの軍事加算徽章……

 そして先ごろ軍馬の代わりの『オートホース』が支給されたのです。

 四足歩行する軍用ロボットでマルスのアメリカで研究されていた『ビックドッグ』と呼ばれるものを、ネットワークが改良したものです。


 本当はこんなものではなく、シュプリンガー改などをアマテラスさんは勧めたのですが、どうしても『馬』がいいと、ウォルムニアが言ったとか……

 急遽、軍用ロボット馬が作成されたわけです。


 最高速度、時速70キロでどこまでも走ります。

 チョット小型、頑丈で、不整地でも行動できます。

 勿論、人を乗せて泳ぐこともできる仕様ですよ。

 頭上の太陽光発電衛星からの電力で動きます、この発電システムは優れものですからね、昼も夜も受電可能なわけです。


 ただ剣は銃に代わっています。

 四四式騎銃改を大改正したもので、自動小銃化されています。

 

 『よりしろ』効果が併用されますと、銃剣を展開すれば、岩をも貫きます。

 その上、誘導ライフル弾になっていますから、百発百中の騎銃なのです。

 

 この四四式騎銃改には、狙撃眼鏡のようなものが組み込まれています。

 形は単なる虫眼鏡のようなものですが、自動小銃化されたおかげで、槓桿(こうかん)の部分は折り畳み式となっており、これを跳ね上げると機関部の上に出ます。


 ここに視線を合わせ、目標に狙いを定めると、誘導ライフル弾にデーターがつたわり、いったん捕捉すると、この後相手がどのように動こうと、追尾して命中するのです。


 そして突然、深い森の中で、弓矢による襲撃を受けたのです。

 まあ、弓矢ぐらいなら、モンスターシルク製の防御下着を貫通などしません。

 怪我など誰もしていないようです。 


 両隊はとにかく応戦、四四式騎銃改を乱射、狙いがさだまらないので、当たりません。

 百発百中といえど、乱射すれば当たるわけはないのです。


「慌てるな!とにかく下馬して散開しろ!狙いを定めろ!」

  

 深い森の中では騎兵は不利、下馬して、一斉射撃をして、白兵戦に臨んだ両隊です。


 結果は完勝、味方はけが人さえいないのですが……


「不覚だった、不意を突かれた……」 

 ガウダは渋い顔でアキリアにこぼしていた。


「結果は完勝、何も気にすることもないと思うが?」

「そうなのだが、これから先、もっと用心をしなくてはと思ってな、斥候を常に出さなくては……」


「確かにな、今回のように奇襲を受けると、案外に慌てるものも出る、練度が足りない……」


「アキリア、この際、サルマタイ婦人騎兵隊から斥候を出してくれぬか?このような森林の中ではサルマタイのほうが得意と思える……」


「ヌミディアは砂漠だからな……わかった、サルマタイが斥候を出し、先行して進む、後ろは任せる」

   

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る