5 「凄さ」が演出しづらい戦車の戦い 操縦手編 上
操縦技術。このキーワードを聞いて、皆様はどのような描写で「こいつ……できる!!」と思うでしょうか?
例えば、車やバイク、ボートその他のレース。
即ち、より速い方が凄い。ラディカルグッドスピィィィド!!
分かりやすい指標ではありますが、脚力や肺活量なんかを鍛える陸上競技やお馬さん或いはその擬人化等と、何かしらのメカに乗る場合の違いはなんでしょう?
事故ることでド派手な演出を入れることができる?
分からなくはないですが、そう言うのはレースというよりカーチェイスの分野かと。
え? カードゲームができる?
スピードの中で進化したデュエリストな方々は座っててください。というか生身で走り出す奴がいるやんけ。
私が思うのは、メカの見た目や性能で個性を付けられる点がひとつ。豆腐屋のハチロクとか、ああ言う奴ですね。
明確に異なる見た目自体が個性になり得ますし、改造するシーンを入れたりすることで"メカニック的な凄さ"も演出できるのは明確な差異だと思います。
操縦技術からやや外れているようで、何気に密接に関わる要素ではありませんか? こいつにしか扱えない専用のチューンナップとか。
あとは、巧みなハンドル捌きやペダル操作、そこから繰り出される技巧ですかね。ドリフトとか、ああいうのです。普通に車を運転するだけならまず使わない技から、狙った場所に寸分違わず停車まで。
オービタルフレーム的な意味じゃない普通の意味でのランナーや、お馬さん及びその擬人化等の場合だと、スポーツ科学に基づく身体の鍛え方や走り方、怪我を乗り越える描写などが要素にありますが、"走る"という動作をするだけなら、基本的に実体験を持つ人の方が多数派です。
少なくとも、車の改造をしたことがある人が、徒競走をしたことある人を上回る、なんてことはまずないでしょう……ないよね?
ここは利点でもあり、欠点でもあります。何やってるのか分かりやすい反面、しっかり描写しないと逆に何が凄いか分からない。
他のスポーツ描写にも言えますが、「ただ〇〇してるだけじゃん。何がどう凄いの? 普通にやるのと何が違うの?」を如何に打ち砕くか。
スポーツ作品書かれてる方、尊敬します。
また、レース中の車を置き去りにして速く走れる人は、異能力者でもない限りは居ないでしょう。人間の徒競走とは、圧倒的にスピード感が異なるわけですね。
車の運転自体はしたことがあっても、普通の人は高速道路くらいでしかスピード出しませんし。それ以上の速さは未知の世界です。これも演出の強みになるのでは?
……今、困惑した人。悪いこと言わないんで事故る前に自首しなさい。
え? 悪い組織の車から逃げてた? ならよし。
いずれにせよ、スピード感や知識欲を刺激する専門的な描写。これをどれだけ魅力的に描けるかが、メカを用いたレース描写の鍵になりそうですね。
次に、戦闘シーン的な場面で輝く操縦技術とは、どんな感じですか?
これはもう、言うまでもないです。いわゆる変幻自在の変態機動!! 私も大好き!! 高機動型とか言われると、もうそれだけで胸がときめいちゃいますよ!!
撃っても撃っても当たらない、なんなら照準すら振り切られてまともに捉えられない、なんだあの動きは、みたいな。
実はこれ、ロボットや戦闘機だけでなく、カーチェイスやバイクチェイスなんかでもそうですよね。
よくあるでしょ?
主人公はギリギリカーブを曲がりきれたり、路地裏に入り込む。或いは車が行きかう交差点をすり抜けるように突っ切ったり、まったくスピード落とさず逆走したり、時にはドリフトのみならずスピンや急ブレーキも駆使しての撹乱に成功する。
追う側は派手に事故ったり、通り過ぎちゃったり急ブレーキして舌打ちするカットとか。
アクション映画界隈では、赤信号はアクセルベタ踏みの合図、青信号はむしろ敵が罠を張って横から体当たりとかしてくるのに気をつけるのが交通マナーです。
言われるまでもなく知ってた? うん……
では皆様、駐車場はあちらです。早速皆様が思い描くキャラたちと思い思いの車に乗り、思い思いのシーンを演出しましょう。
ごめん、この駐車場、戦車しかないんだけどいいかな?(ゲス顔)
後編に続く
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