4 尊い絆☆パワーに一番圧倒されるのは、実は敵キャラではなく……


 皆様は人間ドラマ的なのはお好きでしょうか?


 いろいろありますよね、心を揺さぶられる描写。


 対立を乗り越えたあとの熱い友情や認め合うライバル関係!!

 切なく尊い愛がついに報われて結ばれる瞬間!!

 ずっと不遇だった立場から大躍進!!

 過去の因縁やしがらみを断ち切り、未来を掴む為に再起する!!




 もちろん、血が湧き肉躍るもの、綺麗なもの、ハッピーエンドだけではありません。


 愛情や友情が裏返ったがゆえの制御不能な激情もあれば、嫉妬や怒りで取り返しのつかないことをしてしまうような展開。 

 決して報われない愛に流す涙。

 そして、永遠の離別。

 ……等々。




 そう言うのいらない!! 無双!! 最強!! チート!! ハーレム!! ざまあ!! という作品ももちろんあります。


 それはそれでよき。脳味噌まで筋肉でできてるような作品と同様、考えさせる重苦しさより、気楽に楽しませることを何よりも追求する娯楽重視の作品も、それはそれで大好きです。


 しかし、どれだけ重視するか、力を入れるかに程度の差はあるだけで、基本的にはそこに2人以上の人間ないし意思疎通できる存在が向き合い、戦ったり、恋に落ちたり、友誼を結んだり、怒ったり、望むと望まざると関係なく決定的決別が生まれたりという心の機微は、そう言う作品にもありますよね。


 いや、そもそも登場人物が物理的にも心理的にも完全に主人公一人だけって作品、成り立つのかな……。なんだろう、哲学書か何かか?




 事ある事に人が死ぬ描写があり、戦闘シーンを書く時の作業用BGMは某星を見る機動戦士における、3匹のワンちゃんが戯れるシーンでお馴染みの「M05(サントラ集では"リフトオフ"という題名。聞いたことない人、是非聞いてみてね♪)」が基本。


 作風の根幹にも関わるために気持ちよく無双させないよう意識してるわ、なんかヒロインが暗くて辛気臭い……


 そんな頭コズミック・イラめいた暗い感じの話を書いている私とて、綺麗なものには憧れがあります。


 割と最近寄りの作品で言えば、そう、某機動戦士の大ヒット同窓会映画。准将の約二十年越しの「だけど僕にも武器はある!」や総裁の「愛しているから必要なのです」には拍手喝采でしたし、「もういいのよ、私は知ってるから……」な一途で不憫なあの子の姿には、とてもこの胸を打たれましたとも。


 自動手記人形の物語は、どのお話を何回見てもガチ泣きだし。石川由依さん、貴女は神だ……。


 負けた三人娘のお話も、改めて声優さんやアニメスタッフってすげぇ……ってなりました。たくさんの笑いと涙の提供、ありがとう御座います。次の休みは、豊橋に向けて全速前進DA!


 ちょっと前の作品ですが、ハンドラー1少佐とアンダーテイカーの再会の場面、そして最終回もへああ……ってなりましたし。


 あ、知名度高めで国民的な奴なら、役立たずの狛犬とかかなり好き。アニメ化まだ? 超楽しみにしてますよ。



 


 心揺さぶるイチオシおすすめ作品を挙げ始めたらキリが無いので、少なくともこの場では一旦区切って。


 これら全部、人と人が向き合い、ドラマが産まれていますよね?




 ……何の話でしたか?


 そう、戦車ですよ戦車!!

 私の趣味嗜好はどうでもよろしい。


 私は船を運航するようなお仕事はやったことないので、実際のところは分かりませんが、大きな船の艦長さんって、下っ端からすれば平社員から見た大企業の社長みたいなもんじゃないんですかね?

 顔くらい知ってるし、声も聞いたことあるけど……みたいな。


 下手したら市民と市長くらい隔たりあるかも?


 だから軍艦でお話を作るなら、たとえば艦長を主人公に描写するなら、ブリッジクルーとか他の艦の艦長などと関係を結ぶのがメインになるのではないでしょうか?

 社長とその秘書、各部署ごとの責任者たち、他の会社の社長……みたいな。


 良くて空母の艦長と、目を掛けてるパイロットくらい。


 末端と艦長をピックアップして描くにしても、末端全員をピックアップは当然無理です。せいぜい数人ですかね、末端側は。


 でも、戦車の中はそうは行きません。


 たくさんあるドイツの戦車エースの本とか読んでると、物理的にも心理的にも距離が近い中で、彼らが自分の戦車の乗員たちや、他の戦車の乗員たちと絆を育んで戦ったのが分かります。


 命を直接預け合って戦うのはもちろん、一緒に食事したり、談笑したり、写真撮ったり、狭い車内で何日も過ごしたり、トランプに興じたり、戦車を整備したり、そして見知った戦友の死に涙する。


 言わば、雨に濡れたり、泥に汚れたり、寒さに凍えたりすらも、いつも彼らは仲間同士で共有しているのが当たり前の日常なわけです。たまに例外はいますが。


 これは、現代の戦車、いや、陸軍兵士でも同じなんじゃないですかね? 


 本物の戦場に行ったことすらないんで、完全に推測ですが……。


 でも、軍艦は本とかを読んでると、ちょっと違う印象があります。もちろん、偉い人と下っ端の間にまったく絆がないとかではないんですけど、陸軍的なのとはちょっとちがう。


 例えば極論、艦長自らボイラー室で汗だくになりながらシャベルで石炭を……とかは早々ないですよね。


 むしろよほどの緊急時かつ理由があるとかでもなきゃ、そんなのされたらボイラー室はびっくり仰天、ブリッジクルーは「なにやってんだ指揮をしろよ」と頭を抱えてしまうでしょう。逆も然りです。


 でも、戦車長だとそんな感じのことはしょっちゅうです。なんなら連隊長とか以上のクラスでも。


 あ、くれぐれもですが、どっちがいいとか悪いじゃないですからね?

 創作する上での比較話ですので、海軍ファンの方、海軍にお勤めの方、艦砲射撃による抗議はやめてください。文民への攻撃は国際法違反ですよ?


 

 これらを踏まえると、必然的にお話を書く上では、戦車と軍艦は描写の仕方が変わると思います。


 動かすための必要人数で言えば、軍艦1隻は圧倒的大人数ですが、だからこそ、誰に着目するか、どのセクションをピックアップするかで、描写するべき人をかなり絞った上で戦いを描ける。

 

 一方で戦車は、1両の戦車の乗員、その誰に注目しても、描写するべき対人関係の範囲を狭めにくく、お話をより濃く、より重厚にしたければしたいほど、主人公に関わるたくさんの人の描写が次々に入ってきて、制御するのが難しくなる。


 実際執筆してると、そう言う印象を受けていました。

 うーん、言葉にするのが難しい……上手く伝わりますかね?



 じゃあ描写する戦車を1両に絞れ? 

 やり方次第なんだろうけど、中々厳しいんだなこれが。これについては次回以降。



 そう言う意味では、美少女たちが戦車に乗って活躍する戦車道のアニメって凄くね?


 あれだけの数のキャラを捌き、程度の差はあるんだろうけど各キャラにファンがつくのを当たり前のようにやり遂げるなんて、誰にでもできることじゃないよ。


 皮肉じゃなくて、これはマジで。楽勝なら、こんな記事書いてないです。プロってやっぱりすげえ。



 

 次回は、これを踏まえた上で一番の目玉の筈が、これまた死ぬほど厄介な要素、戦闘シーンについてを書こうかと思います。









 あ、ちなみに私は各校隊長ならダー様とかアンチョビあたりが好きですよ?

 髪卸したダー様のイラストには、なんとも言えない胸のトキメキを感じますし、アンチョビは表情がころころ変わるのがかわいい。


 私が思う、理想のリーダー像の一つかもしれないというのも、私ポイントが高いです。

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