たぶん影響を受けた本

 今でこそあんまりゆっくり書籍を読めなくなってしまいましたが、若い頃はそれなりに読書しておりました。現在ミナキが書いているものは、多かれ少なかれ、かつて読んだものの影響を受けていると思いますが、はっきり思い当たるものを何冊(作?)か紹介します。

(以下敬称略)


※ミナキマサオ個人の感想であることを、特におことわりしておきます。



・窓ぎわのトットちゃん 黒柳徹子 講談社

 この本大好きです。内容は説明不要ですね。わかりやすく読みやすい文章で書かれているので、小学生の頃から読んでいました。先日実家から引き取ったハードカバーはもうぼろぼろですが、そのまま保存してありまして、普段読み用に文庫版を2冊買いました。好きすぎます。


・チョコレート戦争 大石真 理論社

 読んだのは小学生の頃なのに、なんと現代でも書店の児童書の棚に並んでいるという、ロングセラーお化け。洋菓子店のショーウインドウが突然割れてしまい、たまたまそばにいたふたりの小学生が、いたずらで割ったのだろうと決めつけられてしまいます。冤罪に憤慨した小学生たちは、洋菓子店の大人たち相手にリベンジをもくろむのですが……。

 当時は「子ども VS 大人」のスリリングな構図にハラハラドキドキしながら読んだものですが、実は文章力と構成の巧みさによって、ストーリー上重要なあるポイントが自然な流れで隠れてしまうのです。終盤でそれが明らかにされたとき、子ども心に「やられた!」と感じたものでした。こんなに大事なポイントなのに、読者の目をこんな鮮やかにそらすことができるんだ、と。私は当たり前のように、「これを超えるお話が書けたらスカッとするだろうな」と思ったものです。もしかしたら、小説を書きたいと意識した、最初の出来事だったかもしれません。


・パタリロ! 魔夜峰央 白泉社

 小説ではなくコミックです。たぶん現在も続いている(ハズ)。中学生から大学生くらいまで読んでいました。内容についての説明はいらんですね。

 実は、毎回毎回、エピソードの構成がとてもハイレベルで練られているのです。冒頭のつかみネタが「しょーもないな……」なんて笑っていたら、それが非常に重要な伏線になっていたり(しょーもないギャグの伏線の場合も多々ありますが)。何気ない通行人の雑談の中に、事件を解決するヒントが仕込まれていたり。笑い転げつつ飽きずに読み続けていたのは、この構成力に、無意識に引きつけられていたのかもしれません。表現方法は違っても、創作という分野ではたいへんな勉強になったと思っています。

 あれだけクセの強いキャラクターで、ギャグ、ロマンス、サスペンス、ミステリー、時代劇、SF、どんなジャンルも違和感なくこなしてしまうところも魅力ですね。

 ちなみに読むのをやめてしまった理由は、飽きたのではなく、発表され続ける作品の膨大さに、時間的にも経済的にも追いかけきれなくなってしまったからです(だって現在でも続いているんだもん)。


・瓶詰地獄 夢野久作

 いろんな出版社から出ていると思うので、出版社は挙げません。たぶん読んだのは成人してからだと思います。もう何を書いてもネタバレになりそうなのですが……ていうか有名作だからネタバレも何もないのかもしれませんが。いやこの構成ズルイよ! うわあ~これスゴすぎるなにこの構成~……と衝撃を受けた一作でございます。一方で作者のミスも指摘されているそうですが、そのミスというのも解説を読むまでまったく気づかなかったほど、深い衝撃を受けたミナキだったのでした。ちなみに短編なので、かのドグラ・マグラより読みやすいと思います。



 以上、ミナキマサオの小説の根っこに埋まっている(埋まりきらずに露出している気がしないでもない)、いくつかの本を紹介いたしました。

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