第11話:ハイケイ、先生へ。どうすればよいですか
異界転生学教授ベーデン・モンバドゥール氏に向けて、トゥードル・ゲンジーが宛てた手紙。クレメリア革命暦649年2月17日(
ハイケイ、先生へ。
どうしましょう先生。やられました。してやられました。ええ、情けないことですが先生の言われていたリストを元に買い物をしていたらだまされてしまったのです。
それは今日の午後の昼下がり、武器屋を覗いたときのお話です。手ごろな武器を買いに店に入り、斧を買おうとしていたのですが随分と小さい子人のような店主に、「特別な武器を今日なら見せてあげてもいい」と言われ一本の剣を差し出されたのです。その剣はまるで光を宿したかのようにピカピカと光っており、何かの力を宿しているかのようでした。思わず見とれてしまい、予定の予算より多くの値段を出してしまったのです。その後、冒険者ギルドで自慢をしに駆け付け、自慢げに良い剣を手に入れたと皆に見せたところ、皆がゲラゲラと笑うのです。何がおかしいんだと問い詰めたら「そいつは鏡石で出来た剣だ。物を切ることもできない見かけだけのなまくらだよ。アンタは騙されたんだ!」と教えてくれたのです。
なまくらのために大枚はたいてしまい思わず膝をついてガックシと落ち込んでしまいました。手元にあるのは何も切れない光るだけの剣と数本のナイフだけです。再度武器屋を訪ねたときにはもぬけの殻でした。仕方がないのでクレメリアの治安を守る海運衛士隊の方に相談をして、その小人のような男を追いかけてもらう事になりましたが、どうしても許せません。だからと言ってその小人を捕まえたら捕まえたでどうすればいいか分かりません。一発殴ってやりたいところですが、傷害事件を起こすわけにはいきませんし、殺しなんてもってのほかです。弁償してもらおうにも、この時代の鏡石の価値が分かりません。もし適正な価格で売っていたのならわたしも強く責めることが出来ません。どうするべきなのかご教授お願い致します。
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