第9話:ハイケイ、先生へ_冒険者技能訓練の結果について

 異界転生学教授ベーデン・モンバドゥール氏に向けて、トゥードル・ゲンジーが宛てた手紙。クレメリア革命暦649年1月29日(雨月レイディンの12日)のものである。


 ハイケイ、先生へ。先日はアドバイスありがとうございます。先生のお言葉のおかげで一歩を踏み出すことが出来ました。早速あの後冒険者ギルドのノワレさんに相談をして、冒険者の技能訓練を受けてきました。その結果をこちらに記していきます。


 <トゥードル・ゲンジー様>

 この度は冒険者技能訓練の受講おつかれさまでした。

 1月24日に実施しました冒険者技能訓練の結果について下記の通りに評価します。

 <身体的特徴>

 精密動作性:C

 敏捷度:B

 腕力:A

 知力:E

 魔法適性:E

 精神力:B


 戦士適性総合評価:C+

 <内訳>

 剣術適性:C

 槍術適性;D

 斧術適性:B

 棍術適性:C

 杖術適性:D

 格闘術適性:B


 魔術師適性総合評価:D-

 <内訳>

 基礎魔術適性:D

 攻撃魔術適性:E

 補助魔法適性:E

 妨害魔法適性:D

 治癒魔法適性:D


 射撃適性総合評価:B

 <内訳>

 弓術適性:D

 弩術適性:B

 銃術適性:C

 投擲術適性:A


 適性診断結果:戦士・斥候タイプ


 所感

 体格にも恵まれていることから薄々感じてはいましたが、腕力に関してはとても高い評価を記すことができます。特に、”何かを投げる”という動作において極めて高い適性を見出すことが出来ました。他にも、普段から重いものを運ぶ仕事をしていたのか、きわめて重量負荷に対する抵抗が強い傾向にあります。反面、魔術はこの世界においても極めて低い部類に入ります。まるで魔法のなかった世界からやってきた住人と言っても過言ではないでしょう。呪文詠唱に必要とされる精神力が高い分大変残念でなりません。今後のトゥードル・ゲンジー様の活躍を期待しております。

 審査官:ドゥワイズ・アンビレイ


 冒険者についての適性は全くの不向きでないことが分かっただけとても安心しました。わたしは戦士、斥候に向いているとのことです。試験では宝箱の鍵開けなどでつまずくことがありましたが、足の速さなどが評価されました。特に驚いたのは、投擲力の高さです。わたしが日本(読解不能)からこちらへ来たときにその記憶を失ってしまいましたが、何か投げることを生業にしていたのでしょうか?今回の結果は私の記憶を取り戻すのに何らかの役に立つことを祈らんばかりです。

 お金も皆様のお手伝いをするにつれて徐々にたまってきました。中には冒険者技能試験を受けたと聞いて、お古だが使ってくれ!と短刀やスコップを譲ってくれる方もいました。ここの冒険者たちはいい人が本当に多いです。わたしも一人でも助けられるような冒険者になれるように頑張りたいです。

 綴流つづる言治げんじ

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