第四章 ズリネ田とウラララ‼

六蹴 ズリネ田スカト郎

 サクマヒメの本名は

 サクマショウコと言い、

 漢字では佐久間翔子と書く。


「ウンコじゃああああああああ。ウンコをブリブリしたいんじゃあああああああああああ」

 サクマヒメは女子トイレへ駆け込む。そして個室を利用し、洋式の大便器に排便する。

「はあああああああ。至福じゃああああああああ。心が洗われていくんじゃああああ」

 正確には大便器を汚しているだけなのだが、サクマヒメはご満悦な様子だ。しかしそんな一部始終を、盗撮カメラは逃さない。盗撮者は

「この僕。ズリネ田スカト郎だ」

 ズリネ田はサクマヒメの排便シーンを盗撮していた。

「今日はサクマヒメかあ。昨日はサカ神シノブ。一昨日は羽葉堂綾乃だっけな」

 ズリネ田はサッカー部のトイレシーンを盗撮している。訳ではなく、牛尾中学校全体のあらゆるエロシーンを盗撮している。というより、カモフラージュのために非エロシーンも撮影している。カメラ部という名目で。

「はああああああ。至福じゃあああああ。お尻を拭くんじゃあああああ」

「よしよし、サクマヒメはお尻を拭く」

 そしてウンコを流さず、そのまま女子トイレを出る。

「流せよ‼ あと手を洗えよ‼ 最高かよ、この子‼」

 まあそこそこ下品だが、ズリネ田の性癖には刺さった。


「食らえ‼ 最高最強のタイラーインパクト‼」

 しかし、ミスショットだ。大きく枠を外している。

「シノブううううううううううううううううう‼」

「ようござんすか⁉」

 大きくゴール枠を外したミスショットを、シノブが足を出し軌道を変える。それがゴールとなり、一同唖然とする。その唖然は興奮へと繋がり、平とシノブを激励する。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお‼ 何だ今のゴール⁉ スーパーゴールだぜえええええええええええええ‼」

「シノブ様結婚してー」

「神と王の共演‼」

 平とシノブは拳を打ち鳴らし、軽くキスする。その情景に、また一つ興奮の渦が湧いた。


「もう一回だ‼ 行くぜ最強最高のタイラーインパクト‼」

 今度は枠を捉えている。というより、ど真ん中だ。いくら威力が高くても、コースが単調なら捕るのは難しくない。というより、ベリーイージーではないか。しかし

「友情のブレット‼」

 サクマヒメがボールの影から出現した。というより、ボールの上に乗って同化していたのだ。どこまでチビなんだ、この子は。そしてタイラーインパクトの軌道を変え、単調なコースから際どいコースへ移行させる。これは捕れない。

「ゴール‼ ゴール‼ ゴール‼ ウルトラゴールだ‼」

 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼ という歓声に心地良く包まれていく。

「サクマヒメ‼」

「平くん‼」

 平はサクマヒメを熱く抱き締める。その光景により、熱狂の坩堝へ観客を誘う。

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