第17話 真実の拡散
ハルカとエリックがニュードーンの施設から持ち帰ったデータは、思った以上に衝撃的な内容だった。それは、ニュードーンが人々を支配するために意図的に情報を操作し、反抗する者たちを徹底的に排除してきた証拠の数々だった。
「これは…ひどすぎる。」
ハルカはモニターに映し出される文書や映像を見て言葉を失った。そこには、偽装された事故や失踪、さらにはニュードーンが秘密裏に行っている人体実験の記録まで含まれていた。
「これを公表すれば、ニュードーンの信頼は完全に崩れるだろう。」
エリックが力強く言う。その目には、このデータがもたらすであろう希望への期待が見て取れた。
「でも、どうやって広めるの?普通のネットワークは全てニュードーンに監視されてる。」
ハルカは現実的な問題に直面していた。いかに真実が重要でも、それを伝える手段がなければ意味がない。
「俺たちにはまだ仲間がいる。地下の情報ネットワークを使えば、ニュードーンの目をかいくぐってデータを広めることができる。」
エリックの言葉に、ハルカは僅かに安堵した。希望はまだ残されている。
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その日の夜、二人は地下ネットワークのメンバーに連絡を取った。メンバーの一人であるリサが応答し、すぐに彼らの元に駆けつけた。
「これが例のデータね。確かにすごい量だけど、これを広めるには慎重に計画を立てる必要がある。」
リサはデータを確認しながら言った。
「まず、信頼できる複数の拠点に分散させて拡散を始める。その際、情報の正確性を保証するために信頼性のあるジャーナリストや活動家とも連携するべきね。」
リサの提案に、ハルカとエリックは同意した。彼女の冷静な判断力が、彼らに新たな道を示してくれた。
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翌日、拡散作業が本格的に始まった。データは暗号化され、複数のルートを通じて慎重に拡散されていく。その間も、ニュードーンの追跡をかわすための対策が続けられた。
「これで、少しずつ広まっていくはずだ。」
エリックがデータ送信の状況を確認しながら呟いた。その横でハルカは緊張した面持ちを浮かべていた。
「でも、ニュードーンも黙ってはいないはず。反撃が来るのは時間の問題よ。」
彼女の予想は的中した。その日の午後、ニュードーンは主要メディアを使って、地下ネットワークを「テロ組織」として非難する声明を発表した。
「予想通りだな。」
エリックがモニターを見ながら言う。その声には焦りの色は見られなかった。
「でも、これで人々は疑問を持ち始めるかもしれない。ニュードーンがこれほど大々的に反応するということは、何か隠していると考える人も出てくるだろう。」
ハルカの言葉に、エリックも頷いた。彼らの戦いは、着実に進展している。
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その夜、ハルカは独り考え込んでいた。データの拡散は順調だが、彼女の心には不安が渦巻いていた。ニュードーンとの戦いが激化する中で、自分たちが犠牲になる可能性を考えずにはいられなかった。
「ハルカ、大丈夫か?」
エリックが声をかける。彼の声に、ハルカは少し驚いたが、すぐに微笑みを浮かべた。
「うん、大丈夫。ただ…少し怖いだけ。」
彼女の正直な言葉に、エリックは静かに頷いた。
「怖いのは当たり前だ。でも、俺たちは正しいことをしている。その信念を忘れなければ、きっと乗り越えられる。」
エリックの言葉に励まされ、ハルカは再び顔を上げた。
「そうだね。私たちは諦めない。」
その言葉に、二人は互いの決意を確かめ合った。
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翌朝、ネットワークからの報告が届いた。データは既にいくつかの都市で拡散され、ニュードーンに対する抗議活動が始まっているという。
「ついに始まった。」
ハルカは報告を読みながら、胸の奥で希望が広がるのを感じた。彼女たちの行動が、確実に変化をもたらしている。
「でも、これからが本当の戦いだ。」
エリックの言葉に、ハルカは深く頷いた。ニュードーンの反撃はこれからさらに激化するだろう。しかし、彼女たちには信じるべき未来があった。
「私たちが選んだこの道を、最後まで進む。」
そう誓いながら、ハルカは新たな一歩を踏み出した。
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