彼女の存在


奈々が三上を諦めると言った翌日から、2人の関係が良い意味なのか悪い意味なのか、変わっていった。



というのも、奈々が徹底的に三上を避けている。



「なぁ、奈々見なかった?」



「さぁ?」



「なぁ、奈々呼んでくれない?」



「今、ここに居ないよ。」



「なぁ、奈々…」



「あのさぁ。」



なに?とぶっきらぼうな三上を連れて、ズンズン廊下を進み、人気のない非常階段に向かった。



「三上さ、奈々奈々奈々奈々って1日に何回私に聞いてるか分かってる?」



「は?」



「は?じゃなくてさ。なんでそんな奈々にくっついてるの?あんた彼女居るんでしょう?」



はぁ、と溜息を付く。

奈々の前では、ニコニコしている三上だが、裏ではニコニコなんて全然してない。むしろ、口の悪い性悪男だ。



こんなでも、奈々が好きなんだから仕方ない。



「彼女居ないよ。」



「奈々は、彼女出来たって言ってたけど。」



「嘘。」



頭の中いっぱいにハテナが浮かんだ。

嘘ってなに。

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