第2話 ゲームの設定
いわゆる毒親に育てられた私は、とても愛情に飢えていた。
暴力や言動でずっと支配されていたが、結婚と共に物理的に親と距離が離れたことで、少しずつ解放されて行った。
飛行機の距離ということもあり、なかなか会えなくなったのが良かったんだと思う。
結婚相手は本当に優しかったし、幸せだった。
だけど、どうしても幼少期に愛されなかったことが大人になっても響いた。
彼にはたくさん、迷惑をかけたと思う。
愛されたいとアピールするたびによく呆れられていた。
だけどそれでも私を見放さなかったし、彼がいたから自分はとても幸せな人生を歩んでいけたのだ。
今世では、親バカなほど愛してくれる両親に恵まれ、大親友とも言えるメイドもいて、その環境を当たり前に感じて過ごしていたが、倒れていた3日間で前世の人生を夢に見たおかげで…思い出したおかげで気持ちが変わった。
この幸せは当たり前ではないし、生きてる間に恩返しをしたい。
そう、生きてる間に!
このゲームの世界の私は、とあるイベントの時に魔力暴走によって破裂して死ぬ。
誰にも迷惑をかけないために、湖の中に飛び込んでから散り散りになって死んでいくのだ。
さすがR18というべきか、魔力暴走を抑えるための方法に、薬や医者による治療などはなく、自分よりも魔力の高い人の体液を体内に入れるしかないという、無茶苦茶なルールがあった。
涙や汗、キスによる唾液…これも回復というか一時的に暴走を止めることはできるが,完治させるためには精子を入れるしかないという…なんともハレンチな設定。
しかしヒロインでも悪役令嬢でもないビジューは、当て馬かのごとく、エロい展開にならないとこうやって死ぬんですよと知らしめるために死ぬのだ。
ビジューは見目麗しく、とても真面目で成績も優秀。生徒会長もこなし、親から愛されて育ったこともあり、人に迷惑をかけない方法を選んでしまうのだった。
憧れの人がいたために、他の人と体を重ねるなんて絶対に無理だということで信念を貫き通し、人生を終える。
ましてや結婚前に性行為など言語道断!という純粋で真っ直ぐな性格。
そしてその憧れの人はゲームでは出てこなかったが…この人生を0歳からスタートさせた私にはわかる。あの人だ。しかも私より魔力が少ないので、抱き合ったところで効果はなし。
絶対に彼は選ばない。
ビジューである私は、真面目が故になのか生まれてすぐは魔力量はそんなになかったのだが、勉強を積み重ね、練習することでどんどん増えて行った。
今はまだ12歳ということもあり、自分よりも魔力が高い人はたくさんいるのかもしれない。
だが18禁だけにゲームスタートが18歳なのだ。
その頃には限られており、たった3人+1人しかいない…。
それも王子殿下、聖騎士、賢者だった。大物である。
ヒロインである聖女は魔力暴走を起こす前にこの三人の誰かを攻略というか抱き合うことによって、子種をもらい暴走を止めることができ、ハッピーエンドとなる。
そして無事に全てのルートをクリアしたのちに隠しキャラである、大魔法使いルートができるのだ…。
私は攻略する前に死んでしまったのでどんな方法で攻略できるのか全く知らないが、大魔法使い様が私の推しキャラなのである!
いつもヒロインが他の人を攻略しようとする時に邪魔をしてくるスパイス役なのだが、私のような愛に飢えた人からするとヤンデレの超美形は大好物だった。
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