(仮)ヤンデレ大魔法使いの友達
@kinouemizuka
第1話 転生した(ことに気が付いた。)
「お嬢様!?」
目を開けると至近距離で私をみていた顔面ドアップのメイドと目があった。
私専属の侍女フルールだ。
大きな目からポロポロと涙をこぼし…というか私の頬に落としたあと
『旦那様ーっ!奥様ーっ!』と叫びながら慌ただしく部屋を飛び出して行った。
私は濡らされた頬をぬぐう余裕も、フルールを尻目にかける余裕もなく、ただ混乱する脳内の情報を整理することに必死だった。
(ここはロワイヤル公爵家で…私は…ビジュー・ロワイヤル…)
そう、ここはフランスをおそらく意識しているであろう世界。
ただ国名はディユー帝国という。前世では実在しなかった造られた世界。
神を信じている国であり、聖女がいたり、王家や、騎士や魔法使いがいたり…とファンタジー感満載であるゲームの中の世界だ。
しかもR18の…。
私はその中のビジューに転生していたことに、12才になった今、気付いた。よりによってビジュー。今までそれに全く気付かなかったのは前世を思い出さなかったからで…
「ビー!私のかわいいビー!」
「…!ほっ本当に…目を…」
両手を広げながら大きな声で部屋に入ってきて寝転んだままの私に抱きついたのがお父様で、口元に手を当てながら涙をながして信じられないというような顔で私を見たのがお母様。
「…ご心配を…ゴホッ」
話そうとしたら上手く声が出なくてびっくりした。ハスキーボイスでもないのにこの枯れ様は…?
「あああ!無理に話さなくていい!」
「そうよ…!うぐっ…あなたは階段から落ちて、意識を失ってから…うっ…もう3日も目を覚まさなくて…」
私の両肩を抑えて、起きあがろうとする私を阻止したお父様に、泣きながら説明をしたお母様。
二人が当たり前に心配して、泣いてくれていることに涙腺がゆるみ、どんどん目の前が見えなくなって行った。
「なっ泣くほど喉が痛いのか!?」
「フルール!すぐに医者を呼んで!」
慌てふためくお父様に、金切り声で医者を求めたお母様。
言われなくても有能な次女は医者を呼んでいたらしく、すぐさま一緒に入ってきた。
この世界の医者は魔法を使えることが前提なので、片手の掌を私の体の前にあてて「透視」という、いわばレントゲンのような力を使って視た。なんとも便利だ。
「どこも悪くないです!」
一応スキャン?的には異常がないようで、全員安堵してまた泣いた。
私も、胸があたたかくなることを止められなかった。
(私はこんなにも愛されていたのね…)
当たり前だったことに感謝の思いが込み上げた理由は、前世で私は親から愛されていなかったからだ。
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