第2話 セバス視点
坊っちゃまは魔法の鑑定のために屋敷に鑑定士を呼び鑑定してもらっている時に突然意識を失った。
魔法を授かるとごく稀にだが気絶する子供が出ることがある。これは固有魔法を授かったことを意味する。なぜなら固有魔法の知識を頭に叩き込まれるため耐えられないと気絶してしまう。
気絶することの方が稀ではあるがそれでも坊っちゃまもまた固有魔法を授かったと知って嬉しく思うと同時に心配でもある
なぜなら坊っちゃま、アデル様の兄、カルロス・フローレンス様は旦那様と奥様が甘やかし溺愛した結果アデル様をいじめ旦那様と奥様の前では大人しく影でいじめていた。傲慢で平民を平気で見下す人になってしまった。当主としての能力は高いものの平民は自分にお金を持ってくればいい。言うことは聞かなければ平気で斬首するお方になってしまった。
護衛騎士やフローレンス家の監視でカルロス様の行動を知っている旦那様はアデル様を辺境に住まわせカルロス様から、また溺愛して同じようにならぬようにこのような場所に送ったのだ。アデル様に強く、心優しいお方になってもらうために。そしてカルロス様を変えてくれると信じ断腸の思いで気軽に会うことも出来ぬ辺境に送り、執事である私とアデル様専属メイドのみをつけた
私は元Sランク冒険だった。剣の技術と誰でも使える無属性の身体強化でSランクまでのぼった。この身一つで成り上がった私は剣ならば誰よりも強いと自信を持っている。
冒険者を引退した時は王国騎士団から指南役にと誘われたがその前から誘いがあったフローレンス家で働くことになった。
執事になることには驚いたが今ではすっかり慣れたもので未だに剣の鍛錬を行っている。身体は衰えたが技術は未だに進化している自信がある。
そんな折に坊っちゃまから剣を教えてくれる者を探して欲しいと言われ自身の耳をうたがった
しかし坊っちゃまは剣を覚えたいと言った。固有魔法を生かすため。近接出来ないのは話にならないと。それならば私の技術を坊っちゃまにお教えしようと決めました。
坊っちゃまの奥様に髪も、瞳も顔もにて美少女と言っても差し支えないほど綺麗な顔をされている坊っちゃまに傷が残ってしまうかもしれない。それでも他のものが指南するのであれば自分がお教えしようと愚考した
しかしその考えはあまりにも愚かだったのかもしれない、なぜなら
「ふむ、こんな感じか?」
坊っちゃまに基礎を教えする前に今私ができる基礎を早く滑らかに見せた。到底目で見ることは坊っちゃまには出来ないものと思っていた。
しかし坊っちゃまは私が披露した基礎をやって見せた。私のよりも美しく滑らかに。
私は驚く同時に恐怖した。こうも簡単に基礎とはいえ私よりも美しい剣筋に滑らかな身体の動き。
私は才能がっても努力をしたものが勝つと信じていた。しかし圧倒的な才能の前に努力は無駄では無いのか、圧倒的才能の前では無意味では無いのか。
そんなことを考えてしまう。しかしそんなことは今はどうでもいいほど坊っちゃまに私の剣の全てをお教えしようと思った。
「坊っちゃまはどうして剣を?固有魔法を授かったのに学ぼうと思ったのでしょうか?」
自分でもおかしい質問だと思いながら訪ねる。
しばし坊っちゃま少し考えた後に魔力を動かし始めた。
これでも元Sランク、魔力の流れを見ることが出来る。そうしなければ魔法を使う魔物や敵にたいして1歩遅れてしまうからだ。
坊っちゃまの手にはいつの間にか鉄の剣が握られていた。両刃の剣が、
「ふむ、上手くいった。どうだ?俺は鉱物を魔力から作り出し、操ることが出来る。剣も防具も鉱物であればなんでも出来る。この魔法でも強いが近接の武器も使えることが出来ればもっと強いと思わないか?」
私は絶句した。戦場であれば武器の損傷も関係なく常に最高の武器が使えるほか自由自在に長さも大きさも帰ることが出来る。坊っちゃまの口ぶりから遠距離の攻撃も可能だと言うならそれこそ才能を開花させた坊っちゃまにカルロス様、旦那様でさえをも超えてしまうだろう。
「坊っちゃまはどうして力を求めるのですか?」
当然の質問である。
坊っちゃまがもし悪の道に進むのであれば何としても良き方へ導きたいと思ってしまうのは傲慢なのかもしれない。しかし、坊っちゃまが敵として国を狙えばタダでは済まないだろう、
坊っちゃまの返答を待つ
「強くなければ屈さなければならぬ時が来た時に何も出来ない。圧倒的な力があれば力でねじ伏せればいい。そう思ったからだ。」
坊っちゃまの返答をききこれではいずれ悪の道に落ちてしまうやもしれない。
しかし私にはそれを止めることなど出来ない。
坊っちゃまに私の剣の全てを授けたいと思ってしまう。
いつか坊っちゃまの心を支えるお方が現れるのを待つ他ない。
それ以降わずか2週間と言う期間で私の全てを教えそして私は坊っちゃまに敗れた。
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