第8話 ゴブリン討伐報告、そして街の噂?

 ギルドの扉を押し開けると、室内の喧騒が瞬時に静まり返った。冒険者たちの視線がこちらに突き刺さり、ざわざわとした噂話が耳に飛び込んでくる。


「……本当に帰ってきやがった……あの親子が。」


「ゴブリンリーダー……巣ごと片付けたってマジかよ?」


「指一本で冒険者を壁に吹き飛ばすって噂も……」


 冒険者たちは妾たちを避けるように道を開ける。その反応に、リオが不思議そうに首をかしげた。


「ママ、なんかみんな見てるね?」


「気にするなリオ。お主の活躍が彼らには刺激的すぎたのじゃろう。」


 妾たちは堂々と受付嬢の前に立つ。金髪碧眼の美しい受付嬢は、ぎこちない笑顔を浮かべて震えていた。


「セ、セリーヌ様、お疲れ様です……!」


「ふむ、依頼は無事に完了したぞ。ついでにバジリスクと巣穴に潜んでいたゴブリンリーダーも駆除しておいた。」


「つ、ついでって……!!」


 受付嬢の顔が真っ青になり、ギルド内はどよめきに包まれた。


「ゴブリンリーダーを駆除って……普通の冒険者じゃ無理だぞ……」


「あり得ねぇ……一体何者なんだ……」


 冒険者たちが妾たちの方を見ながらざわめく中、リオが自慢げに声を上げた。


「ママが最強だからね!それに、僕も頑張ったんだよ!」


「ふむ、よくやったのじゃリオ。妾の息子として恥じぬ活躍じゃ。」


 妾の強さに噂が広まる中、またしても空気を読まぬ輩が現れる。


「おい、ちょっと待て!お前があの噂の母親かよ!」


 声の主は、筋骨隆々の中年冒険者。態度がいかにも「俺がここで止めてやる」感満載じゃ。


「あぁ、妾に用か?」


 挑発するつもりはなかったが、男は鼻息荒くこちらに詰め寄ってきた。


「てめぇみたいな女がバジリスクやゴブリンリーダーを倒せるわけねぇだろうが!」


「ふむ、そうかの?信じられぬなら試してみるか?」


 妾が静かに手を構える――が、男は言葉を詰まらせたまま、じっと妾の胸元を見つめる。


「……っ!」


 顔が一瞬で真っ赤に染まる。


「お主、どうした?」


「な、なんだその山脈はッッ!!ズルいだろうがぁぁぁッ!!」


 唐突に叫ぶ男。場内が一瞬、シーンと静まり返った後――。


「山脈って、お前www」


「バカすぎだろwww」


「冒険者人生の終わり方が斬新すぎだろwww」


 冒険者たちの爆笑が巻き起こり、隣のテーブルで酒を飲んでいた男まで吹き出しておる。叫んだ本人は顔を真っ赤にしながらなおも騒ぎ続ける。


「こんな不公平が許されていいのかッ!?あんな絶景を見せられて、どう平常心を保てってんだぁぁッ!!」


 妾は呆れたように眉を上げた。やれやれ、こういう輩は相手をすると無限に騒ぐものじゃ。


「お主、命をかけてそれを言うとは……妾も驚いたぞ。」


 しかし、男は勢いを止めるどころかさらに前のめりに叫ぶ。


「この異次元の山脈が、俺を狂わせるんだッ!!」


 妾はため息をつきながら、男の額にそっと人差し指を置いた。


「これがズルい胸を持つ女のデコピンじゃ、覚えておけ。」


 パチンッ!


 ズガァァァン!!


「山脈www」


「終わったなwww」


 冒険者たちの笑い声が響く中、男は壁にめり込んだまま気絶した。


「壁、また壊れた……」


 妾はため息をつきながら指を動かし、一瞬で修復を完了する。


「これで問題ないじゃろ?」


「いやいや、問題だらけだよ!!」


 受付嬢は震えながら、報酬を差し出してくる。


「こちら、報酬の銀貨5枚と……追加分の金貨1枚です!」


「うむ、妾たちの働きに見合った額じゃな。」


 リオと一緒にハイタッチをして、ギルドを後にする。


 街へ戻る道中、妾はふと妙な気配を感じた。


「ママ、どうしたの?」


「少し、妾たちの噂が広がりすぎておるのう。」


 リオはきょとんとした顔をしているが、妾の視線の先には黒いローブに身を包んだ男が立っていた。


(……ただの冒険者ではないな。)


 妾は心の中で呟く。何かが起こりそうな、そんな予感が胸の奥に漂う。


「ママー、次は何をするの?」


「次はダンジョン探索じゃ。少し腕試しをしてみるかのう。」


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 「冒険者の山脈発言に場内爆笑!? セリーヌの胸を巡る騒動が繰り広げる笑撃の一幕!場内の笑い声が収まらない中、この冒険がさらにどんな展開を見せるのか、お楽しみに!」

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