第4話 リオの成長とママの無敵っぷり
冷たい風が吹きすさぶ雪道を、私はリオと共に進んでいた。この寒冷地での生活を少しでも改善するため、今日はリオのレベルアップと食料調達を兼ねた魔物討伐に向かう日だ。
「ママー、今日は僕、もっと強くなる!」
リオが拳を握りしめて宣言する。その瞳にはやる気がみなぎり、雪景色の中でも一際輝いて見える。
「うむ、その意気じゃ。妾も手を貸してやるから存分に頑張るがよい。」
私は微笑みながら、リオの頭を軽く撫でた。
道中、いくつかの小型の魔物が姿を現したが、リオが「ママ大好き」のスキル効果もあり、あっという間に片付けていく。その成長ぶりに、私は少し誇らしさを感じていた。
しかし、その矢先――
「……なんじゃ、あれは。」
目の前の茂みが大きく揺れたかと思うと、全長10メートルを超える巨大な蛇、バジリスクが姿を現した。緑色の鱗が光を反射し、その鋭い目は石化の呪いを宿している。
【敵情報】
名前: バジリスク
種族: 魔物
レベル: 50
HP: 11,000
MP: 1,000
攻撃力: 900
防御力: 1,000
「リオ、妾の見る限りではお主でも十分に倒せる相手じゃ。任せてもよいか?」
「うん、僕がやる!」
リオが自信満々に前へ進み出ると、バジリスクは低く唸り声を上げ、その巨体を大きくくねらせながら襲いかかってきた。
「速い……でも当たらないよ!」
リオは軽やかにステップを踏み、巨体から繰り出される牙の一撃を次々とかわす。そして、反撃の機会を見逃さない。
「いくぞ!」
リオが地面を蹴り、バジリスクの尻尾に向かって全力で拳を振り下ろす。
ドゴォォンッ!
バジリスクの巨体が大きく揺れ、地面に激突して雪煙を上げた。しかし、まだ息絶えたわけではない。怒りの咆哮を上げたバジリスクがリオに向かって再び突進してくる。
「リオ、少し下がるがよい。」
私が軽く前に出ると、バジリスクの鋭い目が私を捉えた。そして、巨大な牙が私に向かって迫る。
ガシャンッ!
バジリスクの牙が私の肩を直撃した。しかし――
「……痛くも痒くもないの。」
私は肩を軽く回しながら呟いた。牙が当たった部分は、かすり傷一つついていない。バジリスクの目が驚愕に見開かれる。
「お主、驚く暇があるなら、この場を去るべきじゃ。さもなくば――」
バジリスクが再び咆哮を上げた瞬間、私は人差し指を軽く振った。
ゴシャァァァンッ!
その一撃でバジリスクは完全に沈黙した。巨体が雪原に崩れ落ち、静寂が戻る。
「やった! ママー、すごい! でも、僕が倒したかった!」
「ふむ、その意気じゃ。次は妾を頼らずにやってみるのじゃ。」
さらに奥へ進むと、一つ目の巨人が現れた。全長5メートルを超える筋骨隆々の体格に、一つだけの赤い目がギラリと輝いている。
【敵情報】
名前: サイクロプス
種族: 巨人族
レベル: 60
HP: 15,000
MP: 80
攻撃力: 1,000
防御力: 800
「ほう……お主、なかなか迫力があるの。」
巨人が咆哮を上げ、その巨大な拳を振り上げて突進してきた。
「ママー、大丈夫?」
リオが心配そうに声を上げるが、私は静かに微笑むだけだった。
「心配無用じゃ。」
巨人の拳が私に向かって振り下ろされる直前、私はその場に留まり、全身で受け止めた。
ズゴォォンッ!
巨人の拳が私の頭上に直撃し、地面に大きなクレーターができた。しかし、私は微動だにしない。
「……お主、その程度では妾には通じぬ。」
巨人が驚きの表情を浮かべた瞬間、私は右手の人差し指を構えた。
「妾のデコピン、一撃で済むとはありがたく思うがよい。」
バゴォォォンッ!
巨人の頭部が歪み、巨体ごと背後へ吹き飛んでいった。岩山に激突し、雪煙と共に崩れ落ちる巨人。その衝撃波で辺りの木々が揺れる。
「ママー、僕もいつかあんな風になれる?」
リオが目を輝かせて言う。その無邪気な言葉に、私は微笑みながら応えた。
「ふむ、努力次第じゃ。妾も全力で手伝ってやるから、頑張るのじゃ。」
討伐したバジリスクと巨人の肉をアイテムボックスに収納し、私たちは屋敷への帰路に着いた。リオの成長を感じつつ、彼の新しいステータスを確認してみる。
【リオの新ステータス】
名前: リオ
種族: 魔族(魔王)
レベル: 5
HP: 15,000
MP: 75,000
攻撃力: 2,000
防御力: 1,500
スキル: [ママ大好き], [無限のポテンシャル]
「レベルが上がったぞ、リオ。これからもその調子で頑張るのじゃ!とにかくステータスに頼らず、戦闘経験をいっぱい積むと良い!」
「うん! ママー、もっと強くなるよ!」
リオの無邪気な笑顔を見ていると、この冒険が少しずつ形になっていく気がした。
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「リオの魔王修行はまだ始まったばかり。でも、ちょっと待って……魔王の第一歩ってこんなにドタバタしていいの!? 次回もお楽しみに!」
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