第11話 最終放送と減光。そしていよいよ東海道へ。
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列車は間もなく、福知山に到着いたします。福知山には22時27分着、3分停車です。ホームには売店の営業はございませんのでご了承ください。また、この列車は食堂車を除き全車寝台車でございます。浴衣を着たままでの寝台車の外への立入りは御遠慮くださいませ。
この列車では、只今を持ちまして明朝5時30分の熱海発車後まで、緊急の場合を除きまして車内放送を休止いたします。それに伴いまして、皆さまの安眠のため車内照明を減光させていただきます。
それでは、どうぞごゆっくりお休みくださいませ。
なお最後に、日本食堂より食堂車の御案内がございます。
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こちらは日本食堂でございます。只今を持ちまして、食堂車は閉店させていただきます。明朝は、熱海発車後より横浜到着前までの短時間ではございますが、朝食の営業を致します。どうぞご利用ください。また、明日朝は同時に車内販売の営業もございますので、そちらもどうぞご利用くださいませ。
本日は、出雲4号と日本食堂をご利用くださいましてありがとうございました。それでは皆様、どうぞごゆっくりお休みください。
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列車は程なく福知山駅に到着した。乗客がいくらかあった模様。しかし内山氏と青木氏のいる区画の上段には乗客は乗って来なかった。車内はすでに寝込んでいる客も多い。彼らは宴会を切上げ、それぞれの区画に戻って翌朝までひと眠りすることと相成った。
福知山の次は、綾部。ここは30秒のみの停車。この列車は全車寝台。どのみち降車する客などいない。乗車客も、今日はいない模様。
カーテン1枚とはいえそれぞれの区切られた区画に戻った紳士たちは、備え付けの浴衣に着替え、ある者は便所へと言ってひと用事を済ませ、ある者はそのまま毛布を掛けて自らの頭を備付の枕に乗せ、つかの間の眠りへとついた。
列車は山陰路を抜け、京都の郊外から夜の京都の街へと入線していく。
0時9分、京都に到着。ここで機関車を交換し、さらに東京へと向かう。
ここからは文鎮型のディーゼル機関車に代わり、鉄道少年たちのトップアイドルでもあるEF65PFこと1000番台の青と白に塗られた少し短めの機関車が東京までこの青い列車を引っ張っていくのである。
車内はすでに真っ暗同然。しかし、この京都駅から乗車する客もいくらかいるようである。彼らの区画の上段にこそ誰も乗って来なかったが、この車両にも何人かの客が乗車した模様。
この列車に乗ってひと眠りすれば、定刻で朝7時には東京に着ける。大阪発の寝台急行もあるにはあるが、そちらでは東京着が9時台になってしまう。少し早めに行きたい関西の客にとって、この列車は存外重宝しているのである。
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