第9話『Don't look back in anger』
家に帰り、ぼくは自分の勉強机の前に腰を下ろした。
ぼくはちょっと昔の音楽を好んで聴いている。
父さんが使っていた古いCDコンポ。そして、古いCD。
配信の音源よりも、こっちの方がぼくは好きだ。
最近は昔のオアシスの曲がお気に入りだ。
再生ボタンを押した。
オアシスの歌詞の意味の解釈は十人十色と言われている。
ぼくは歌詞カードを見て、必死に訳した。
サリーは待っていてくれる
共に歩くには 手遅れだと知っていながら 彼女の気持ちが離れていく
けど 『悪い思い出にしないで』
そう聞こえたんだ
自分で訳して、その歌詞を見て、ぼくの目からは涙がこぼれた。
人はこんなにも泣けるものなのか。
人は水でできている。
いつの間にか、泣き疲れて寝てしまった。
おばあちゃんが夢に出てきた。
夢の中で、おばあちゃんはぼくにひたすら謝っていた。
わたしの部屋の天袋にヘソクリがあるから、それを使いなさいと言っていた。
目を覚ました。
確かに、あのホテルで支払い能力の無いぼくは、ニコのスマホ決済に頼るしかなかった。
ニコは美容師のハサミを買うためにお金貯めていたのに。
本当に情けない。
そして、おばあちゃんの部屋の天袋からは本当に10 万円が出てきた。
おばあちゃんのヘソクリに頼るなんて、本当に情けない。
ニコに連絡を取ろうと思っても、電話もLINEも、直接会いに行っても無理だった。
会いたくない。
強い意志を感じた。
ニコはぼくに大切なものをくれようとしてたのに、ぼくが台無しにしてしまった。
しかも、記憶は無いが、ぼくが割った鏡まで弁償させてしまった。
ニコ。
ぼくの大好きなニコは、もう、ぼくに笑い掛けてはくれないのだろうか。
絶望だ。
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