第10話『サリーは待っていてくれる』


年末、ぼくはずっと自分の部屋でぼ〜っと過ごした。

コンポからはノエルの声が聞こえる。

急に違う歌声が聞こえた。

「And so Sally can wait♪

ってとこが良いね」

その声に驚いて、振り返るとニコがいた。

「トムぅ〜♡ 久しぶり!」

ニコは笑っていた。

でも、涙目。

今にも、涙がこぼれそう。

いや、こぼれた。

「どうして?」

ぼくの頭はパニック状態に落入った。

「言ったでしょ、3日間話し掛けないでって」

うん、確かに言った。

しかも、今日はきっちり3日後だ。

ニコはポロポロと涙をこぼした。

「ゴメンね。

あの時は本当にムカついて、許せなかったの。

だから、3 日間離れて、頭冷やそうと思って···

けど、半日でトムが恋しくなった。

会いたかった。

声が聞きたかった。

トム、さみしかったよ」

ぼくはニコを抱きしめた。

ギュッと強く。

すると、ニコもギュッと抱きついてきた。

ニコの頭を優しく優しく撫でた。

ずっとずっとこうしていたかった。

ぼくの目からも一筋の涙がこぼれた。

ニコはそれを見て、優しく指で拭ってくれた。


コンポのノエルが歌っていた。

サリーは待っていてくれると

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