第5話『バスルーム』
ぼくはお風呂にお湯を入れるため、バスルームに行った。
この部屋は完全な個室タイプだ。
脱衣場には大きな鏡の洗面台があった。
ぼくは鏡に映った自分を見た。
いつもと変わらないぼく。
ほっぺたをつねってみた。
痛い!
一応、確認した。
鏡の前の自分に話す。
おまえ、世界一エッチい顔してるぞ。
一応、警告しといた。
ニコがいる部屋から、音楽が聞こえる。
昔、聞いたことのある歌。
フランク・シナトラのレット·イット·スノウ!×3
おばあちゃんがクリスマスになると良く口ずさんでいた。
ぼくが生まれる前に亡くなったおじいちゃんが好きな曲と言っていた。
ニコもおばあちゃんのことが大好きだから覚えてるかな。
今ごろ鼻歌歌いながら、大好きなじゃがりこ食べてるかもな。
「美味し♡」
本当にソファで鼻歌歌いながら、ニコはモグモグとじゃがりこを食べていた。
おばあちゃんを思い出して、ふと鏡に映る自分を凝視した。
自分の首に巻かれた紫の紐。
服の中から御守りを取り出した。
考えてみれば不思議だ。
子どもの頃からしているのに、いつも見た目は新品そのもの。
おばあちゃんがくれた魔除けの御守り。
子どもの時、プールに入る時に外したら、プールの中で誰かに足を引っ張られ、死ぬかと思った。
最初は誰かのイタズラと思ってたけど、その時は25mのタイム測定を1人ずつやっていたから、ぼく以外はプールにいなかったらしい。
それ以来、御守りは外したことがない。
でも、家でお風呂に入る時は外してるな。御守り外しても不安にならないもんな、あれはおばあちゃんの仏壇があるからのおかげなのかな。
今日は、ニコとお風呂に入るし、その後も邪魔になるよな···
よし!
外そう!!
ぼくは御守りを外した。
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