第3話『入室』

部屋に行く途中、廊下にあった謎のモニュメントにニコが引っ掛かった。

「ねぇ、トム、これ何?」

謎のモニュメントをペシペシ叩いて、爆笑してる。

え〜い、やめんか!

次はアメニティコーナーに引っ掛かった。

「わ〜、いろんな入浴剤置いてあるね〜♪ 

トム、一緒にお風呂入る?」

···うん、入る。

上階に行くエレベーター、先客が上がろうとしてる所を···

「あ、乗りま〜す!」

こら、呼び止めるな!

しかも、良い人達だ。待ってくれてる。

「あ、ども」

気軽に挨拶するな!

そして、部屋に到着。

部屋番号『404号室』

部屋の前でナンバーが点滅している。

···何か疲れた。

2人で部屋に入った。

「メンバーズカードをお持ちのお客様は···」

抑揚の無い女性が平板な声で何か言ってる。

ヤレヤレ。

部屋の入り口でニコが言った。

「トム、ギュッてして」

ぼくもずっとしたかった。

ぼくはニコをギュッと抱きしめた。折れそうなくらい細いウエスト。それに対してふくよかな胸がぼくの体に当たる。

ニコの良い匂いがする。

今、ぼくはニコの匂いしか感じない。もう、ニコ以外の匂いなんていらないと思った。

「トム、チューして」

ぼくはニコにキスをした。

もう、何回かしてる。

けど、何回してもドキドキする。

高揚する。 

ニコの柔らかい唇。

ニコの火照った体温を感じる。

ん?

ニコが舌を入れてきた。

初めての感触だった。

温かくて、柔らかい。

ずっとずっと味わっていたい。

ニコの柔らかい髪の毛を触った。

世界一大切なものを触るように、ニコの頭を優しく優しく撫でた。ニコが口を離した。

「トム、うれしい?」

真っ直ぐにぼくを見て、ニコが言った。

ぼくは目で答えた。

「うれしいよ、大好きだよ、ニコ」

「わたしも大好き」

その後、ぼくらはずっと、狭い部屋の入り口で、お互いを求め合った。

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