第二話 アルビオンの空に

『アルビオンの空に』


 蒸気機関の時代が終わり、ガソリン系のエンジンが普及しだしたそんな時代。

 イギリスのアルビオンで飛行機を研究している少年エイクがいました。

 彼はイギリス貴族からの融資という形で研究を何とか続けている貧乏学者でした。

 それもそのはず、大学を出たばかりで碌な成果は出していなかったのです。

 しかしエンジンに目を付けた彼はプロペラの研究から翼といった基本的な飛行機の形を作り上げ、地面を走る飛行機までにはこぎつけていたのです。

 そんな時、有力貴族から追加の融資を受けられることになりました。そんな彼も、舞い上がり、お酒を飲んで潰れてしまいます。

 その酔いつぶれた夜に出会ったのが、マーシーという女の子でした。

 彼女は「本当に空を飛ぶことができるの?」と言いました。彼は「もちろんだよ、設計上はね」と付け加えて言いました。それをクスクスと楽しそうに彼女は笑いました。最初はバカにされていると思ったエイクでしたが、すぐに彼女の笑い声は他の人とは違う純真な楽しさからくるものであると感じ、彼女にのめり込んでいきます。

 彼女との出会いで勢いをつけたエイクは研究を必死に続けました。そこへ彼女が衣食住の面倒を見てくれることになり、さらに研究に集中できるようになりました。

 そこへ電撃の報告が入ります。ライト兄弟がアメリカで飛行機をはじめて飛ばしたのです。

 エイクはいいところまでいったものの、あと一歩というところで先を越されてしまいました。しかし、エイクはまだあきらめていませんでした。

 「イギリスの、いや、アルビオンの空に最初に飛行機を飛ばすのは僕だ」

 ライト兄弟の飛行機の情報は断片だけ入ってくるような状況でした。それを活用しつつ、エイクは自分の力で飛行機を完成させます。

 そしてマーシーと二人で空へ飛び立つことができたのです。

 こうして架空ですが、イギリスの空を一番乗りしたという話でした。

 スチームパンクともちょっと違って、史実のようで史実ではない一風変わったお話です。鳥人間コンテストのようにはじめて大空を飛ぶという行為はなんだかワクワクしますね。 

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