第三話 みにくいペガサスの子

『みにくいペガサスの子』


 ファンタジー世界の少女とペガサスのお話です。

 少女ドールは十五歳になり、ペガサス部隊に配属になりました。

 ペガサス部隊は文字通り翼が生えている白い馬で空を飛べる特殊能力がありました。

 しかし、男爵家の令嬢であるドール専属のペガサスはなんと、翼が生えてこなかったのです。普通のペガサスなら生まれたときから翼があるはずです。

 同僚たちからも、周囲からも白い目で見られるドールと相棒のペガサス、クドラはそれでも懸命に訓練を続けました。

 そして一つのことがわかりました。クドラは空こそ飛べないものの、足がものすごく速かったのでした。

 それでも普通は空を飛んだほうが早いので相変わらずバカにされていました。

 そんな時、夜間に出動要請がペガサス部隊に出されました。ラインハルト公爵家へ伝令を届けてほしい、公爵様が危篤であると。しかしペガサス部隊は夜間飛行は危険なため行っていませんでした。そこで白羽の矢が立ったのがドールとクドラでした。

 クドラは夜目が利く馬だったのです。ドールたちはその任務に見事、応えました。それからというもの周囲の見る目が少しずつ変わってきていました。

 そんなある日「クドラ、おでこに角が……」なんとクドラは伝説の聖獣とされるユニコーンだったのです。

 ユニコーンは心が清らかな聖女しか背に乗せないという伝説があり、確かに他の隊員を乗せることはまずありませんでした。

 さあ、たいへん。

 教会から人がやってきて、ユニコーンを従えるドールを聖女認定して、祭り上げようと画策してきます。

 しかしソそれに異を唱えたのはペガサス部隊でした。ユニコーンは私たちのものだとして、一触即発の危機に陥ります。ペガサス部隊は騎士団の一つで武力を持っています。

 いまさらペガサスは夜間飛行もできなければ、夜はドールたちに頼りきりだったのです。

 そこに割って入ったのが国王様でした。彼は人格者として有名だったのですが、残念ながらまとめきれず、第三勢力として三つ巴の緊張状態になってしまいました。

 国内で戦をするわけにも行きません。また騎士団としてはユニコーンは聖獣であり、血を嫌うという問題がありました。万が一戦闘になれば肝心のユニコーンが死んでしまうかもしれないと。

 結局は、元の鞘に戻り、ユニコーンはペガサスを引き連れて王国に貢献しました。

 みにくいペガサスが伝説のユニコーンだった、というのが話の肝ですね。おとぎ話のようでもあり、なかなか楽しめました。

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