第7話 令嬢実妹の悪戯。


 あれから、きらりに紫音のことを色々と聞かれた。好きな食べ物や好きな事。


 だから、しおんの趣味は、呪文の詠唱文と自分の真名を考えることだと教えてあげた。あいつは本当にオタクだ。これできっとドン引きして、きらりもアイツと距離をおいてくれることだろう。


 話しているうちに、知ってるようで妹のことをあまり知らない事にも気づいた。


 最近、あまり話してないからなぁ。

 昔は、お兄ちゃん子で懐いていたんだけど。


 そんなこんなで、俺はもう家にいて、きらりとメッセージのやり取りをしている。


 きらりは、無謀にも、本当に紫音に話しかけたらしい。しかも、俺から告白されたことやプロポーズされたことも、まるっと話したという事だった。


 きらり曰く、「しおんちゃん。可愛いし、言葉遣いも綺麗だし、すっごく良い子だったよ」との事だった。


 話を聞いていて、「そいつ誰だ?」と思った。だって、アイツ、普段は俺のことを呼び捨てだし、命令口調だぞ?


 きらりのことだがら、俺とのことを本当に全部話してしまったのだろう。


 なんだか、明日、妹と顔を合わせるのが憂鬱だよ。とりあえず、不安だし、きらりをオカズにして寝るか……。




 ……。


 「おにい、おにい。おきて」


 「ん……、もう朝か」


 目を開けると、しおんが俺に馬乗りになっていた。しかも、Tシャツと短パンの軽装だ。


 俺の角度からだと、チラチラ乳首が見える。どうせ短パンの下も何も履いていないのだろう。


 よく、ラッキースケベというが、妹の裸とか有害物質以外の何者でもないんだが。


 俺はMAXに気怠い声で答えた。


 「あのさ。お前、なんで俺の部屋にいんの? つか、きたねーもの見せんなよ」


 きたねーとは言ったが、紫音は、身長はきらりより少し高いくらいで、色白の黒髪ロングヘアだ。目も切れ長で、ノーメイクでも顔のパーツが整っている。まぁ、一般的には美形なのだろう。身体もバランスがいい。


 でも、妹である以上、この視界は残念以外の何者でもない。


 「兄者。彼女ができたらしいな」


 つか、お前、何時代の人間だよ。


 「しおんにはかんけーねーだろ」


 すると、しおんは俺に跨ったまま、俺の両肩を押さえつけた。


 「兄者よ。いまこそ、NTRプレイの準備は整った。本番に備えて、我が訓練してやろうではないか」


 つか、お前、何時代の人間だよ。

 ほんと。

 

 「きらりめに、お主の恋人は妹に欲情する変態ブタ野郎だと伝えてやろう。兄者め。さっさとフラれるがよい」


 「え。なに。おまえ、嫉妬してんの?」


 すると、しおんは露骨に言葉に詰まった。


 そして、それを誤魔化すかのように、フラダンスの要領で腰をぐるんぐるんと回し始めた。体重が乗ってるので、しおんの尻が、まともに俺の腰骨の辺りに押し付けられている。


 しかも、きらりのを触った経験のせいで、しおんの股間の割れ目が、俺の股間のあたりに押し付けられているのも分かってしまう。


 しおんは、上から俺を見下ろし、勝ち誇った顔をすると、さらに腰を回した。


 「ほれほれ。そろそろ妹に反応してしまうのではないか? このクズめ」


 やばい。

 いくら性欲の対象外でも、これほど直接的な物理攻撃を受けたらヤバい……、かも。


 妹相手に反応したら、おれ、本気で自分を嫌いになりそうなんですが?


 おれは思わず、声を上げた。


 「しおん。まじでやめろ!! そんなんされたら……」


 「そんなんされたら、どうなんだ? ほれほれ」


 ほんとコイツ。

 どこのセクハラ親父だよ。


 「だから、マジやめろって……、って、あれ?」


 ところが、俺の股間は全く無反応だった。

 いくら顔が綺麗でスタイルが良くても、血というのはそれ以上らしい。まぁ、所詮は妹だ。当然か。


 ナイスだよ。

 おれの股間に宿る小さな紳士。


 すると、しおんがむくれた。

 なんでか分からないが、ふてくされている。


 しおんは俺の両肩に手を添えて腰を少し持ち上げ、さらに脚を開いて押し付けてきた。そのまま腰を回し続ける。


 しおんは俺を睨んで言った。


 「鳴かぬなら、鳴かせてやろうホトトギス……」


 だから、お前。

 何時代の人間なんだよ。


 しかも、その歌、後の世の創作らしいぞ?


 まぁ、でも。

 この状態で1時間やられても無反応な自信がある。気が済むまでやったらいい。


 そしてその時、お前は本当の敗北を味わうのだ。

 

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