第3話 それでも美少女のヒップは神。
次の日、俺は、大学についてもテンションが上がらず、食堂の片隅でうなだれていた。すると、永田(ながた)が話しかけてきた。永田は同じ学部の友達だ。
永田に事情を話すと爆笑された。
「まぁ、山西は、お嬢様系大好きだもんなー。まぁ、ドンマイ。んで、そのアスリートちゃん。かわいいの?」
「……かわいい部類だとは思う。でも、タイプじゃないし。おれは一年から神楽坂さん一筋なんだぜ? それに、普通、知らん人に告られても断るだろ。なんでOKされたんだか謎すぎるんだが。美人局か?」
永田はニヤニヤした。
「まぁ、ぶっちゃけ。彼女できただけで、羨ましすぎるけど。お前から告白したなら、責任はとらないとねぇ?」
「あー、はいはい。善処するわ」
すると、神楽坂さんが通りがかった。目が合うと、俺に何かを言いかけたが、友達に呼ばれてそのまま行ってしまった。
あの態度。
絶対にきらりとのこと聞かれたわ。
まじ終わった……。
はぁ。
まじでやる気でねぇ。
講義が終わり駅に着くと、きらりがいた。
今日は1人だ。
「あれ。きらり。今日は部活なんじゃ?」
「えへへ。そうくんに会いたくて、抜け出しちゃった」
昨日聞いた話だと、きらりのバスケ部はなかなかの強豪校で、次の大会に向けて本気で頑張ってるとのことだった。
サボりは普通にだめだろ。
年上の俺が足を引っ張っちゃってる。
俺はきらりの頭をポンポンとした。
「なぁ。きらり。おれのためにサボるの禁止な。自分を大切にするように。じゃないと、もう会わないよ?」
我ながらに上から目線だとは思うが……、きらりには効果覿面だったらしい。
きらりは目を擦った。
泣いたフリだと思ったら、ほんとうに目が潤んでいる。
きらりは言った。
「ごめんなさい。もうしません……。だから、会わないなんて言わないでほしい……」
快活な子の従順な姿は、グッとくるものはあるが、ちょっと言いすぎたかな。
それにしても、この子は、なんでこんなに俺のことを好いてくれるんだろう。
自分でいうのも悲しいが、そんなイケメンでもオシャレでもない。不思議すぎるのだ。
「きらり。ちょっと不思議だったんだけど、なんでそんなに俺のことを好いてくれるの?」
すると、きらりは寂しそうな顔をした。
「……忘れちゃったの?」
きらりは、俺の手首を掴むと、グッと自分のヒップに押し付けた。右手の中指に、きらりのお尻の割れ目の感触が伝わってくる。
え。
なに。
おれってば、誘われてるの?
20歳そこそこの童貞男なんて、相手が女なら、とにかくヤリたいのだ。きらりは俺のタイプではないが、一般的には可愛い方で、身体も華奢だがスタイルがいいのは理解している。
正直、付き合うのは微妙だが、できるできないなら、エッチはできると思う。いや、むしろしたい。
だが。
きらりに手を出したら、俺は本気でクズだぞ。
頼むから、いたいけな童貞の性欲を刺激しないで欲しい……。
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