ガン=カタってなあに?→もっとガン=カタをください!もっと!!

昼は車椅子生活の冴えない日陰者皇子。
夜は道化師の仮面で正体を隠し、魔弾を放つ二丁拳銃を手に、踊るように悪を撃つ謎のダークヒーロー。
こんなのカッコよくないわけがない!

そんな主人公が胸に抱くのは、正義でも大義でもなく『ガン=カタを極める』というガン=カタ愛の一点突破。
どんな不利な状況さえも、たとえ大軍が相手だろうとも、彼らにとっては最高の舞台。その強く輝く心の熱さにシビれます。いい意味で清々しいほどの変態です。

痛快なテーマとは裏腹に、世界観は緻密かつ重厚です。
帝都にはびこる悪意、国家を巻き込む陰謀、先代の恐怖統治の傷を引きずる不安定な政治情勢……。
残酷なまでの“現実”の中で、登場人物たちはそれぞれの過去があり、それぞれが意思を持って考え、生きています。
主人公たちが拠点としている貧民街の人々も、気安い温かみだけでなく、その裏にある苦しみや痛みもしっかりと描かれていて、「血肉を持った人たちがここに生きている」と感じられます。

脇を固める仲間たちも粒揃いで、掛け合いも軽妙です。主人公の正体を知らない相手にはバレる・バレないのハラハラ感もあります。

さらに特徴的なのが、固有魔法と精霊獣の設定です。
その全貌は物語を通して少しずつ語られていくのですが、散りばめられたヒントから「これはもしや……?」と予想するのがとにかく楽しい!
主人公の正体や能力も、序盤から意味深な描写のみでなかなか明言されないのですが、おかげで先が気になってどんどん読み進めてしまいました。作者様引っ張るのがお上手です……!

完結最終章が始まったということで、応援の気持ちをたっぷり込めてレビューさせていただきました。
まだまだ明かされていない謎や伏線が残っていて、ますます目が離せません!

意志が強くてブレない主人公が好きな方、心にロマンを抱く方、リアリティある世界観にどっぷり浸かりたい方、スタイリッシュで熱いバトルが読みたい方。
そんな皆様にオススメです。

読んだあとにはきっとこう思うはず。
ガン=カタ、もっとください!