第4話 そんなある日
女性が「健斗さんね?どうぞ、中の方へ」とお店の中を案内してくれた。
エプロンの似合う女性だなと健斗は女性を観て思った。
女性が「私は、照子。此処のお店の店長をして居ます」と丁寧に健斗にお辞儀をした。
健斗も、それに合わせてお辞儀をした。
健斗が「あの、どうして見ず知らずの俺に優しくしてくれるんですか?」と照子に訊ねた。
照子が「それは、私も健斗君みたいにね?仕事に就きたくても、就けないときがあったの」と健斗に話を始めた。
健斗が「それは、どう言う事ですか?」と聞くと、照子が「あのね?私がまだ若い頃だったわ。あの時、優しくしてくれた人が居て、職場や、生き方に苦しんでいた時に、「大丈夫?」と声を掛けて、少しだけどもお金を工面してくれたの」と照子は優しい顔をして居た。
健斗が「そうなんですね?俺も、照子さんと同じで、どこの職場にも就けずに生き方に苦しんでいます」と必死になって返事に答えた。
照子が「そうね?やっぱり環境が悪かったし、職場の上司とも関係が悪くて、冷やかされて嫌な言い方をされて、職場を続けたいとは正直、思わなかった」と過去を振り返って居た。
健斗が「そうなんですね?何か話を聞いて居ると心にジーンと来ますね?」と涙を見せた。
照子が「でも、その後にね?お花の世話をする様になって、このスズナリと言うお花屋さんを始めたの」と眩しい程の笑顔を見せた。
健斗が「そうなんですか。俺はそれに比べて何もして無い」と自信なさげに話をした。
照子が「そろそろ分かる時が来るわ。今は何もしてなくても、今までの経緯を見たら、きっと健斗君にも好きだった事、やりたい事が見つかるはずよ」と自信ありげに健斗を励ました。
健斗が「そうですよね?俺が昔やって居た事、もしかしたら…」と何かを思い出した様にスズナリを出て行った。
照子は「ありがとうございました」とニコニコしながら健斗に手を振った。
健斗が好きだった事と思いついたのが、プラモデル制作だった。
健斗はダンボールを押入れから出して来て、プラモデルを設計し始めた。
時間を忘れる程に、しばらくして健斗はプラモデルの飛行機を作り上げた。
健斗は「やっぱり、俺にはこれがある。昔好きだったから、何だか懐かしい」と童心に返ったような感じがし、それと同時にやりがいを感じて居た。
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