第2話  失意のどん底

「健斗?健斗ったら」と言う声が聞こえて来た。

真純が「健斗、起きてるの?」と健斗を起こした。

健斗が「何だよ。人が気持ちよく寝て居るのに起こすなよ」と真純を睨んで見て居た。

真純が「何だよ。じゃないわよ?あんた、また私の携帯を取り上げたでしょう?」と健斗に怒って居た。

健斗が「何だよ。俺にだって金が無いから、申し訳ないけど、携帯を使える状態じゃ無いから借りただけだよ」と真純に答えた。

真純が「借りただけって、誰が携帯のお金を払って居ると思って居るの?」と凄いけんまくで怒ってきた。

健斗が「しゃーねぇな?よい」と真純に携帯を渡した。

健斗が「これで良いだろう?さっさと帰れよ」と身体を横に倒した。

真純が「しょうがないわね?今回だけは特別に許してあげるわ。でも、次は無いからね」と健斗にキツく話し掛けた。

健斗は「ちぇっ、つまんねぇ奴」と真純を見て面白く無い顔をした。

真純が「やだね?昔はもっと活発でお仕事を頑張って居たのに、今では金もなければ携帯もない。そんな貧乏な暮らしをして居るなんて信じられない」とそっぽを向いて健斗のそばを離れて行った。

健斗は「どいつもこいつも、金も無いと思えば、冷たくなる。俺はこれからどうして行けば良いんだ」と言う一抹の不安が心の中で浮かんでは消えた。

母親の小柴 結が来て「あんた、仕事はどうしたの?また、いつになくこの公園で細々と暮らして居るのね」とみすぼらしく健斗を見て居た。

健斗は「しょうがないだろう?どこも雇ってくれる所が無いんだから」と結に話をした。

結は「しょうがないわね?私の貯金から50000円出してきたから、これで仕事を見つける為の洋服を買いなさい」と徐に財布からお金を出した。

健斗が「サンキュー。母さん。でも、俺は洋服を買ったって、誰も俺のことを信じてくれる人は居ないじゃないか?」と涙を見せた。

結が「そんなの決まって居るじゃない。きちんと職を見つけて、誰も俺のことを信じてくれないなんて言わないで。私が居るじゃない」と健斗を説得した。

健斗が「そうだよな?俺、今まで誰にも見向きもされなければ、捨てられて居たんだ。でも、今母さんと会って分かった気がする」と結の問いかけに答えた。

結が「そうよ。皆に分かって貰えなくても良いのよ。あなたは、あなたのままで良いの。健斗の事を分かってくれる人は私や、信じてくれる人が居るだけで良いんだから」と健斗に返事を返した。

健斗はそれから、間も無くしてホームレスで着ていた洋服を全部脱いだ。

健斗は結が持って来たお金で、洋服を買い、「これで良いな」と新しく新調したスーツとワイシャツとズボンと靴を揃えた。

汚くなった洋服を洗い、干した。

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