アリアside 2

「う、ん、、」

あったかい。すごく寝心地がいい、

いつまでも眠っていたい気分。

何だろうこの感触、誰かの膝の上?

まぁ今は何でもいい、余計な思考はいらない…


パチパチ


焚き火の音がする。


私は何をしていたんだっけ、確か、変な時間に目が覚めちゃって、お手洗いに行って、

それから…


「ッ!泥棒は!」

今まで事を思い出し飛び起きる。

何をこんな時に呑気に寝ているんだ私は

周りを見回すと、1人の男の子と、気絶しているのか、手足を縛られ、項垂れているさっきの泥棒がいた。


「あっ、君起きた?何か明らかに怪しい男が

女の子背負ってたからとりあえず気絶だけ

させたんだけど大丈夫だったかな?

もし知り合いとかだったら本当にごめんね?」


倒した?この、私と同じぐらいの年齢の子が?


「う、嘘、ほんとに?」


「うん。何か探知してたらやけに急いでる

人の反応があったから興味本位で見にきたら

会った瞬間襲ってきたから。で、大丈夫だったかな?」


嘘を言っているようには思えない、

じゃあほんとにこの子が…

とりあえず質問に答えなきゃ


「う、うん大丈夫。この人うちに入った泥棒で、屋敷で襲われて連れ去られてた…」


「お、良かった。人助けも出来たし。盗賊も

捕まえれたし、一石二鳥だったなぁ」


その男の子はこちらに振り返って言う


「君どうする?僕はとりあえずこいつを衛兵に引き渡すけど、ついでに送ろうか?」


「う、うんお願い」

こんな森の中だ、どちらへ行けば良いのか検討もつかない。この子は分かるのだろうか?

「じゃあちょっとこっち来て」

少年が近くに来るよう促す

「ねぇ、移動するんじゃないの?」

「うん、そうだよ。おっけい、座標が固定できた。ちょっとフワッとするけど気をつけてね」

「え?どうゆうこ…

私たちを中心に光が発せられ、次の瞬間には

街の門の前だった

「!?!?!?」

一瞬で移動した。まさか転移魔法?

転移魔法は本来超高等魔術とされている。

使用する魔力量もそうだが、1番はイメージの

問題だ。単純に、自分が他の場所に瞬間的に

移動するという想像ができず、この魔術を使えるものは極端に少ない。王都でも、宮廷魔術師が、数人がかりで1人を送ることに使う。

それをこんなにあっさり、しかも2人を一度に!?


正直信じ難いことだったが、現に街に着いている。

「どうしたの?早く行こうよ?」

あまりの衝撃にポカンとしていると、男の子から声をかけられる。

そうだ、早くお父様とお母様に安全を伝えないと…

そのまま私は事情を話し、衛兵に保護してもらい、次の日家に帰してもらった。

両親は号泣しており、いくら大丈夫だと言っても「ごめんね、ごめんね」と謝り続けていた…


その後両親を宥め、落ち着いた後になって気づく、

「私、あの人の名前教えてもらってない」

致命的なことに気がついた

やってしまった、色々ありすぎて忘れてしまっていた。

でもまぁいつか会えるだろう、いざとなったらお父様やお母様に頼めば良い


「結局昨日あんまり寝れてないし、寝直そうかな」

そしてまた、私は眠りについた…



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