リズside 2

「あっちゃー、やっちゃった。この時間から

だと最悪道に迷っちゃうし、今日は野宿するしか無いかなぁ」


普段は気をつけているのだが、今回は依頼目標の数が多く、予想以上に時間を食ってしまった


「何か食べ物探さないとなぁ」


普通の人なら一晩ぐらい食べなくても、それほど深刻にはならないと思う、でも私の場合はそうはいかない、

最悪体が動かなくなってしまって、魔物のエサになってしまう。

暗い森の中で、獲物を探してみるが、全然見つからない。ただでさえ暗い中、先ほどまで戦闘をしていた影響で、ここら辺の動物が逃げてしまっているのだ。


「や、ばい、ほんとにそろそろ何か見つけないと……」

目の前がチカチカしてきた、さっきから拾った薬草やらを食べてみてるけど全然お腹の足しにならない…

「あっ、」

    バタッ

木の幹に足を引っ掛けて転んでしまう

やばい、もう力が入らない…

「誰か、たすけ、、」


「おーい、大丈夫か、…


遠のいていく意識の中で、誰かの声が聞こえた




目が覚めると、私は寝かされていて、

目の前にいる人が何か作っていた。


「あ、れ、私、どうして、」


「君、大丈夫だった?森で倒れてたから

とりあえず寝かしといたけど。あっ、良かったらこれ食べる?」

男の子が鍋で煮込んでいたであろうスープを注いで、渡してきた。

「あ、ありがとうございます…」


一口食べてみると、


「っ、美味しいっ!」

めちゃくちゃ美味しい。あまりの美味しさに すぐに食べおえてしまう。


「あ、あのすみません、もう一杯頂いても?」


「お、良いよ、食べな食べな」

夢中になって食べていると、その男の子がこっちを見つめている。


「あの、何か変でしょうか?…」


「あぁ、ごめんごめん、あんまり美味しそうに食べるもんだからさ、作った甲斐があったなって」

「そ、そうですか」

夢中で食べてるとこ見られた…

めちゃくちゃ恥ずかしい…

まだ意識がぼんやりしている、

「じゃあ僕はもう行くよ、それは食べちゃって良いからね。バイバイ」

「えっ、あっ、待っ…


その男の子は一瞬で何処かへ消えてしまった


「まだ、お礼も言えてなかったのに…」


せめて名前ぐらい聞いていれば…

食べるのに夢中になって頭が回らなかった…

「意識が朦朧としてたせいで顔もはっきりと覚えてないや…」

本当にすごく優しい、温かい人だったなぁ。


とりあえずその日はギルドで報告を終えてから

家に帰った。両親に心配されたが、

良い機会だと思い、冒険者の活動を打ち明け、

ある程度のランクまで登っていると説明したら了承してくれた。




17歳になり、勇者として認定され、魔王討伐の任務を言い渡された次の日、私はまたお腹が

減ってフラフラになってしまっていた。


「まさかあそこの弁当屋が潰れるとは…」


やばい倒れそう、あっ、

「大丈夫ですか…

またあの声…

申し訳ないけど、

「お腹減った…、何か食べさせて…」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る