第4話 ご飯

まず勇者とは、冒険者になった人の中の一握りの強者だけが手に入れられる称号だ。

数多の敵を倒し、その称号に相応しい

強さと人格を兼ね備えている


そう、言うなれば冒険者の中のエリート中の

エリートなのだ


のはずなのだが…


目の前で倒れたこの子ってほんとに勇者なのだろうか?お腹減って倒れてるこの子が?

えぇ……


このまま放っておくことも出来ないし、

変に宿屋に連れ込んでも店主に通報されるかもだし…

はぁ…仕方ないか…


「ちょっと触るけど通報したりしないでね、

よいしょっ、と」

リズさんをおぶって、その軽さに驚く

「女の子ってこんな軽いもんなのか?…」

首の裏に当たる感触を噛み締めながら、歩いていった…


「何か前にもこんなことしたような…気のせいか」


その後何とかリズさんを部屋まで運び、料理を

作って食べさせた、

「ぼ、僕の1週間分の食料が…」

そう、この女、うちの冷蔵庫にある食材を全て平らげたのだ。しかもすごく幸せそうに食べるもんだから文句さえ言えない。

「ほんとにありがとね!行きつけの弁当屋が潰れちゃってさ、朝から何も食べれてなかったんだよ!」

「ま、まぁ、よろこんでくれたなら、よかったよ」

引き攣りそうになる顔で必死に笑顔を取り繕う

これから旅を共にする仲間なのにこんな所で溝ができてはいけない

「また困ったらいつでも声かけてよ」

そう言って彼女を送り返した。


1日後

「ごめんねほんと!昨日に続いて!」

「気にしないで、おわかりいるかな?」


3日後

「ほんと美味しいねキミのご飯!毎日食べたくなっちゃうよ!」

「は、はは、それはよかった…」


5日後

「このタレが絶品だよね!最高!」

「…………」

2週間後

「今日のご飯もおいしかったよ!ご馳走様!」

毎日食べに来るようになっていた…

だってあんな美味しそうな顔で食べられたら

来ないでなんて言えないじゃん!

誰かに美味しいって言ってもらえるの

結構嬉しいんだよちくちょう!

なんか最近は食材の買い物にも一緒に行ったりしていて、これがデート!?って思ったのは

勘違いしてるみたいで恥ずかしくて言えない


ちなみに食費の方は後日渡してくれた




「やっぱりこの味、あの時の…」

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