方向音痴

第8話

「まさちゃん!ちょっと聞いて!ねぇ!私、高校生だよね?そう見えるよね?」



携帯片手に興奮気味な私



「どうしたの?…ってか、あんた今、何処?」


「うっ!そっ、それを聞く?…何処かなんてわかんないっ、でも、今はそれどころじゃ無いのよ!聞いて!」



私は、強引に話をしはじめた。



「教室に戻ろうと1ー3目指して歩いてたの!そしたらいつの間にか中等部に行っちゃってたらしくて…『編入生』と間違われちゃったの…しかも中1の…」



余りにも自分のマヌケさに最後の方はごにょごにょと小さい声になってしまった。



「はぁ…中1に…。何で中等部にまで行ったの?」



まさちゃんの、呆れている雰囲気が携帯から伝わってくる。



「私だって好きで行ったんじゃないよっ!?気付いたらそこだったんだもん」


「…じゃあさ、いっその事、そのまま『中1の編入生』になりきって校内案内してもらっちゃえば…?」


「あっそーかぁ!」



にこにこ



「そのまま『編入生』のフリして道案内をね………って、中等部の?虚しすぎるよっ!」



あははははは。



「ちょっと、まさちゃん!笑いすぎ!いくら慣れてる私だって傷つくよ!」



プンプン!



「は?何言ってるの?私、笑ってなんかないよ…慣れすぎてて」


「へ?まさちゃん笑ってないの?…って『慣れすぎてて』は余計だと思うけど」



あははははー


すげー!っかしー!

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