第4話

「高崎先生!」



右手を頭上高く上げながら



「今日提出の課題を忘れてしまいました。ど、どうしましょう…」



私がこう言うと、先生はあからさまに呆れた表情になった。



「高宮…お前…その内容をそんなに元気に語らなくとも…また、なのか?」



『また』に力を込めて聞く先生…



「すみませんっ」



私は右手を下げつつ



「今度こそは忘れない様にと、前日から玄関へ置いといたのですが…、今朝スルーして登校しちゃいました」



私は、“取り敢えず努力は認めて欲しい”とばかり言ってみた。


それに対し、先生は思案顔になり



「うーん、今日はオマケじゃ無理だな。…放課後、理科実験教室の掃除だな」



こう言い放つ。



「掃除ですか?理科実験教室の?」


「ああ。実験器具を洗ったり、道具を片付けたり…」



私は、追加の課題を出されるよりはましだと思い



「わ、分かりました。それで手を打ちます!ありがとうございました」



と、早口でまくし立てた。

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