第2話 夢でも、デジャヴでもない。

「どういうこと……?」


どうやら、jkも困惑しているようだ。

2024年、12月28日、午後2時13分。最初に目覚めた時と、全く同じ光景が目の前にある。

そして、なぜか直感で悟ってしまう。これは、夢でもデジャヴでもない。


「……!ちょっと待てって!」


すぐさま部屋を出ようとするjkに声をかける。


「なに……?」


「なにかやばいことが起きてるって、分かってるんだろ……?ちょっとだけでいい。話をしないか」


jkはめちゃくちゃでかい溜息をついたが、


「いいよ……」


返答は意外に素直だった。


「話が早くて助かるよ」


2人は距離を置いて、ベッドに腰掛ける。

なぜこのような状況になっているのか。記憶がない。ラブホテルに泊まった経緯も身元も、分かっていない。話し合いたいことは山ほどある。


「なにか覚えてることはあるか?」


「……何も」


「そうか……名前とかも?」


「名前は、スマホに書いてた」


そういうとjkはスマホの画面を向ける。


『今嶋 瑠璃 (いまじま るり)』。それが彼女の名前らしい。

スマホを見て身元を確認するという発想を、俺は忘れていた。自分の頭の鈍さを知る。


「高校2年生、17歳」


「それが今知ってる情報か……」


俺も自分の持っているスマホを、改めて確認する。


『津々野 飛日(つづの あすひ)』。20歳。

これで自分の名前と年齢が割れた。一安心とは言わないが、一歩前進ではある。


「瑠璃さん。なんでこんなことになってるか、何も知らないか?」


彼女は首を横に振る。

なにも手がかりがない。記憶を失くした理由。ラブホテルにいる理由。なぜか最初に戻った理由。謎は浮かぶばかり。

だが、これだけは確かだ。



これは……現実。



「なにか、なんでもいい。とっかかりがないか探そう。一緒についてきてもらって良いか?」


コクリと彼女は頷く。初っ端、平手打ちをかましてきた人間と、同一人物だとは考えられないくらい素直だ。きっと不安なのだろう。ここは大人の自分が何とかしなくては。


「実は、俺のことを知ってそうな人を見つけた。その人に会いに行こう」


そう言って、2人はラブホテルを後にする。


時間が巻き戻ったということは、また同じことが繰り返す可能性が高い。

まずは、それを確かめるんだ。

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