第14話 仲間

早速ギルドへ着いた2人。


「やっぱこういうガヤガヤしてるよな〜ギルドってのは。

あ、あの人に聞いてみましょう。なんか知ってそうですし」


シャーペンはギルドのお姉さんに聞いてみる。


「あのーすみませう、この辺でアイテムを見かけませんでした?」


ギルドのお姉さんは、少し目を開いたと思った直後、すぐに口を閉じて周りを見た。

それから小さな声で言う。


「申し訳ありませんが、お客様…お引き取り願います」


「え、なぜ…」


「申し訳ありませんが、理由はお話できません」



残念そうにイスに座るシャーペンとアド。

ギルドの受付では様々な人がクエストの内容を聞いている。


ずっと同じ内容が耳に入ってくる…ずーーーっと。



と思っていたら突然、別の内容が聞こえてきた。


「アイテムをこの街か、街の周辺で見た事は無いか?」


上記のセリフはシャーペンでもアドでもない。

別の誰かだ。その声の主は女であった。

銀髪の女性である!


「⁉︎…アドさん、アイテムの事についてあの人が話してますよ!」


「え、そうですか?」


寝ていたアドを起こし、シャーペンは耳を傾ける。


「お引き取り願います」


ギルドのお姉さんは同じ返事をしたが、銀髪の女性は粘る。


「頼む、知っている事を教えてくれ。アイテムを最後に見たのは、いつだ⁉︎」


お姉さんが指差したのは、シャーペンとアドであった。


「…わかった、ありがとう」




女性がシャーペンの上に座る。


「いてえええええ!(ありがとうございます)」


「あれ、いたのか…すまない。私はアル。剣士だ。

とあるアイテムを探して旅をし、この街に辿り着いたのだが、君たちのような者に出会えて嬉しい」


「私はアドと申します。そこのペンはシャーペンという方です」


アルはシャーペンをイスからテーブルの上に乗せると、真剣な顔で言った。


「どうやらアイテムについて話す事ができるのは、この街では私たちだけのようだ。

この街には強いアイテムが潜んでいて、裏で殺人を行っているから、そいつを倒すために私と協力してほしい!」


頭を下げるアル。シャーペンは彼女の耳元へ立ち、低音イケボで返した。


「もちろんさぁ」


「ありがとう!この出会いは一生忘れない」



「(これでやっと仲間が増えた…つまりハーレム!ウヒョヒョヒョヒョ)」


「気持ち悪いですよシャーペンさん」


「敵の正体は把握済みだ。ここで話すのはアレだから、どこか人のいない所へ行こう」



◇◇◇



昼間なのに暗くて、寒い路地。


ゴミ箱の上にアルは乗ると、周囲に誰もいないか確認しながらアドとシャーペンに話した。


「敵の名前はセロハンテープ。おそらくシャーペンが元いた世界の物なのではないかな?」


「え、テープ?テープってあの、くっつける方の?」


「そうらしいな。輪っかのような姿をしていて、物と物をくっつける力を持つアイテムだ。

そいつが、この街の住民の口を見えない不思議な力でくっつけ、特定の言葉や話を語れないようにしている…と、私は踏んでいる」


アドが疑問に思う。


「ではなぜ、そのテープというアイテムは住民の口を塞いで、アイテムの事について話せなくしたのでしょうか?

そんな事をする必要は無いと思いますけど…」


「私の考えでは、口封じなのではないか?なら住民全員がテープの存在について知っているという事になってしまうが。

それと、この都市は地方の割には、やけに人が多すぎる気がする。あのギルドとかガヤガヤしすぎだ。もう少し落ち着いた雰囲気だよ、ギルドってのは。

何か知っている者たちをこの街に閉じ込め続けた結果、人口がここまで多くなってしまったとか…」


「とにかくテープという奴を探して倒せば良いんですよね⁉︎俺らに任せてくださいよ!」


シャーペンが大きな声で言った。アルが静かな声で注意する。


「ちょ、声がデカい!あとお前、さっき私の耳元で喋った時と声が全然違うぞ!」


「それは…すみません、声を変えていました」


「まぁ良い、テープの事について人に聞いてみよう。安心しろ、すでに対策は考えている」

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