第10話 打ち砕かれた
「は⁉︎」
「え?」
困惑する2人。
ケースは続けて言った。
「私は
君をここへ誘い込むために、アリスという女のフリをしてたんだ。
君は私の罠に引っかかったんだよwww」
「……?」
「要するにアリスの正体は色鉛筆のケースだったって事か!!」
シャーペンが突然叫ぶ。直後、少し恥ずかしくなった。
アリスの正体が色鉛筆のケース…日本語として崩壊しまくりの文章である。
そんな意味不明な文章を真剣な態度で叫んだ事にシャーペンは後悔した。
「アリスノショウタイガイロエンピツノケース…アリスノショウタイガイロエンピツノケース…アリスノショウタイガイロエンピツノケース…」
「シャーペンさん、ふざけてる場合じゃないですよ!そんな事より、六文遊のアイテム⁉︎」
「六文遊ってなんですか?」
「割と初期の頃に誕生した6体のアイテムです。
強さは まちまち ですが、そこら辺のアイテムと比べたら強い存在ですよ!」
「(よくある展開か)」
「
鋭い風が吹き回し、ケースの体切り刻む。
いや、切り刻まれていない。
「私の体は硬いからな。そんな物騒なものは置いて、さぁ遊ぼうか2人とも!」
カタカタカタカタとケースから鳴る音で咄嗟に判断したシャーペン。
「一旦逃げましょうアドさん!」
「え、なんd」
その瞬間に響き渡る銃声。
空を見上げると色鉛筆がミサイルのように、こちらを狙って降ってくるのが見える。
地面に大きなクレーターができたが、幸い直前に2人は回避したため攻撃を受けずに済んだ。
しかし色鉛筆は何本も空を飛んでいる。まだ向こうの攻撃が続く。
急いでシャーペンたちは森の中に逃げたが、いずれこの森も色鉛筆によって焼き払われるであろう。
「どうしましょうかアドさん!」
「私は敵の真正面から攻撃するので、シャーペンさんは敵の背後から攻撃してください」
「わかりました」
彼はケースの背後に回るべく、森の中を進む。
先ほどまで肌寒い夜だったが、そんな事を思い出させる暇も無いほどの灼熱。
おそらく謎のアイテムとは、あの色鉛筆の事なのだろう。
そしてケースはアイテム軍と言っていた。同じような奴が他にもいるって事か?
「お2人とも、どこへ行かれたのかしら?仲良く森の中へ隠れちゃって……」
ケースがアリスの声でシャーペンたちに尋ねる。
この声がシャーペンの何かを破壊し尽くした。
「(俺の恋は、あの訳のわからん金属の入れ物に打ち砕かれたという事か…!
俺の純粋な恋心をぶっ壊しやがって…ふざけんなよなぁ、なぁァァァァァァァァァァ!!)」
背後へ回る前に森を抜けて攻撃しようとした彼は思い留まった。
「(待て、俺にはアドがいる。まだ耐えられる。戦いは常に冷静じゃなければ勝てない。
勉強もゲームもそうだ。先に焦った方が負ける。
落ち着け…落ち着け…)」
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
シャーペンの集中力をケースは音で乱す。
「(まずいシャーペンさんが…
ケースが色鉛筆の発射準備をする音がアドの耳に入った。
そして青い炎が準備中のケースを取り囲む。
「お、炎魔法か…青い炎が綺麗だね。私の赤い炎とは真逆だ。さすがアドさん!」
ケースから放たれる無数の色鉛筆がアドを襲った。
「⁉︎…」
彼女は急いで防御魔法を展開するも、無様に突き破られるのを見たシャーペン。
「⁉︎…」
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