第7話 希望

家の中から出てきたのは、金髪の美少女だった。


シャーペンの中で何かが壊れた。何かが外れた。


「な、何この金髪の美少女…!アニメでしか見た事が無い。

こ、こんな人の友人の友人になれて良かった…!

(な、何この金髪の美少女…!アニメでしか見た事が無い。

こ、こんな人の友人の友人になれて良かった…!)」


「……………」


呆れたように見下すアド。


「(しまった心の声が漏れてしまった)

えっと、あなたがアドさんの友人さんですね?こんにちは、シャーペンと申す者です。よろしく」



「え、えぇどうも…」


金髪の美少女は困惑した顔で挨拶した。

アドがフォローに入る。


「これはシャーペンという方で、悪い人ではないんですよ。ちょっと変なだけで、別に手を出したりはしないので安心してください。

そんな事より、やっと会えましたね…アリスさん!」


「アドさんも、ようやく会えたのね…!

すごく嬉しい!」


アドの友人の名前はアリスというらしい。

うーん似合っている、なんて美しい響きなんだ、結婚してぇ…とシャーペンは考えていた。


「早速お家へ入って」


アリスは2人を中へ入れた。

狭い家だが、ここで彼女は家族と幸せに暮らしているのだろう。


だがそんな事は無かった。


「ちょっと僕はお義父さんとお義母さんに話がしたいのですが…」


シャーペンは低音イケボでアリスに尋ねると、彼女は残念そうに答えた。


「父は魔王軍との戦いで…母は王都で奴隷として働かされています」


「「え」」


思わずアドとシャーペンは声に出す。

アリスは言い続けた。


「私は魔王軍から、先祖が住んでいたこの家に逃げてきたのです。

魔王軍は滅びましたが、今度は謎のアイテムまで現れて…。

でもシャーペンさんは、おそらく良い人なのでしょう。安心しました…」


「すみません!うちのシャーペンが失礼な事を!」


「大丈夫、もう1人での生活は慣れたからね。

それより、美味しいパイを作ったの。いつか手紙で自慢しようとしたけど、せっかく来たんだし食べていってよ!」


彼女はオーブンから熱々の大きなパイを持ってきた。


「すごく大きい…」


「(漫画でしか見た事無い大きさだな〜)」


「この辺で取れるリンゴで作ったアップルパイよ」


アリスはフォークと皿をテーブルに出し、パイを切り分けて皿に乗せた。


アドとシャーペンは席に座ると、アドがフォークでパイを刺し、シャーペンの口へ運ぶ。

それを見てアリスは笑った。


「お2人とも仲が良いのね」


「はい」


シャーペンが断言する。


「いやまぁ、シャーペンさんは食器を持てないから、私がこうやって食べさせるしかないんですよ。

人間の姿に戻ったら、さすがに自分で食べてください⁉︎シャーペンさん」


「それは、わかってますよアドさん。

でも仲が良いのは本当ですよね⁉︎ね⁉︎」


「1ヶ月前よりかは、はい…」



アリスは笑い、そして言った。


「私もこんな風に、楽しくふざけながら冒険してみたいな〜」


聞き逃さないシャーペン。


「(これは仲間に入るフラグか⁉︎俺のハーレムが誕生しちゃうのか⁉︎あぁ、気本しかないわ〜。

今日は眠れなさそうだな!)」

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