第6話 友人
野原を歩く2人の魔法使いがいた。名前はアドとシャーペン。
シャーペンは人間に戻り、元いた世界へ帰るために旅をしている。
「そういえば、この近くに私の友人がいるんですよ。
寄り道しても良いでしょうか?」
「え、この近くに?」
アドが森を指差した。
どうやら、この森の奥に彼女が手紙を書いている友人がいるらしい。
いかにも怪しい森だが、アドは森へ入るつもりだ。
「まぁ暗い森なら俺の光魔法で照らせば良いか…」
森の中はぬかるんでいて、非常に歩きにくい。
おまけに暗い。昼間なのに森の中だけ夜のようだ。
これは魔物がいるな…とシャーペンはウキウキした。
「これは魔物がいるな」
見てわかる通り、このようにウキウキしたのである。
「ルギュァァァァッ」
大きなトカゲのような魔物が現れた。
鉤爪を持ち、鋭い歯まである。おまけにギョロリとした目だ。
シャーペンはアドと一緒に草むらに隠れる。
ちょうど光魔法が役に立った。シャーペンが出した石が放つ青い光は魔物に認識されていない。
「(おぉこんな感じなのか!す、すげぇ…!)」
光る石を魔物へぶん投げる彼。アドは焦った。
「ちょ、何してんですか⁉︎そんな事したら位置がバレますよ!」
「大丈夫ですよ、この光は魔物には見えませんし」
シャーペンはトカゲの魔物へ激しく石を投げ続けるが、ついにトカゲが激怒した。
「ルギャァァァァァァァッッ」
そして草むらを掻き分けてシャーペンを手で掴む。
「(え⁉︎な、なんで)」
「グッギョロースッッ」
この
つまり石なら魔物も認識できるため、石が飛んでくる方向に敵がいるとわかるのだ。
「え、えっとその…アドさん助けてください。お願いします」
「言われなくても助けますよ。
ズバッッッ
トカゲは風によって細切れにされる。
そのまま地面に無様に落ちるシャーペン。ペン先から飛び出るシャー芯が折れた。
「もう、何してんですかシャーペンさん…」
アドが地面の上のシャーペンの前で屈む。
なんと、スカートの中が見えそうに!
「(お…?)」
しかしスカートの中は暗闇だ。謎の影がシャーペンの欲望が満たされるのを邪魔している。
こういう時こそ
「うおおおお……お?」
光る石を置き、中を覗こうとしたシャーペン。
しかし目の前にいたのは大きなミミズであった。
いや、それだと語弊がある。彼にとっては大きなミミズであった。つまり普通のミミズ。
「うぉ、ミミズ⁉︎」
アドは驚いてシャーペンごとミミズを蹴飛ばしてしまった。
「いてええええええええ!」
絶叫するシャーペン。
「あ、ごめんなさい。そんな蹴飛ばすつもりは無くて…」
「ありがとうございます」
「はい??」
「いや、なんでもない…です」
◇◇◇
しばらく進むと開けた場所に着いた。
この湿った森の中にある広場としては、怖くなるほど心地良く乾燥した場所である。
そして家が一軒あるのが見えた。おそらくアドの友人の家だろう。
「あれです、私の友人の家は!」
「そうですか…あの、念のため聞いておきますけど。
友人関係なんですよね?そいつとは」
「え、えぇまぁ」
「(なんか怪しいんだけど!嫌だよ俺、こんな場所まで来てカップル誕生の瞬間とか見るの!)」
「とりあえずノックしてみましょうか」
アドは家のドアを叩く。
ガチャッッ
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