プロローグ②
僕はエルク・アルネス。16歳。とある名も知らない貴族の親戚の親戚の親戚。底辺というのもおこがましい程の辺境地にあるルナルト領で暮らす平民だ。
僕もその領主様の親戚の子供として成り立っているようだが、だからと言って平民という肩書きはなにも変わらない。
僕はまたそのアルネス家に生まれた三兄弟の末っ子で、家は領地の中では少しだけ名高い位置にあるらしいが、僕はその中の最低中の最低。今にも家を追い出されてしまうんじゃ無いかと思うほどに軽蔑されている。
それは僕に力が無いからだ。また精神も弱く、いつも自室でぐーたら生活をしている。僕だってこのままじゃいけないことは理解はしている。だけど、やる気が無いとかじゃなくて、出来ないんだ。
いくら努力しても兄さんたちには追いつかないし、平民の癖に貴族の作法なんて教えてくる訳もわからない。唯一、僕は記憶力だけは並より良いと自負している。
そう、今まで受けた蔑みの目線や、怒鳴り声の一文一句、また暴力されたことも全て覚えている。別にそれが憎しみに変わったりもしないけれど、僕はもう諦めたんだ。
追い出すなら早くしてくれ。僕を唯一守ってくれるのはお母さんだけだけど、それを見る兄さんやお父さんの目はあまりにも厳しい。
一体僕は何故生まれてきたんだろう……。生まれてさえいなければ、お母さんの負担もなく、兄さんや父さんのストレスも溜まることもないのに。
《どこまでも地に落ちた。憐れな青年だな……》
え……?
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