9.0 カジノドライブ

銀髪幼女をお持ち帰りする前に、ズンダ王女のネックレスを墓に返した。女神レベル下がっちゃうので。銀髪幼女には、かわりに手持ちのズンダ財宝の中から、赤い宝石の嵌った金の指輪を渡した。サイズが大きすぎて指に嵌らなかったので、鎖を通してネックレスにした。この鎖も、おそらくは金。かなり高価なシロモノを幼女が首から下げているわけだが。

存在するだけでターマ山の獣が逃げ出すのだ。人類の盗人程度では、奪うことは不可能だろう。


全裸のまま連れ歩くわけにも行かないので、痛車のとろこまで戻ってから、川で水浴びさせた上、先日宿場町で買った服を着せて、わし用の明日のパンツを履かせた。着せたのは浴衣。足元は下駄。うん、結構似合っているね。


痛車に乗ってワワンサキに向かう。道中、再び道行く人の2度見3度見を浴びる。もう慣れてきたわ。

そういえば、悪魔ポチには何も報酬を与えていない。ドラゴン金貨はクリームとセリカとわし、で3等分。生命の実については、誰も「お前いる?」と聞かなかったな、そういえば。


「我は、悪魔だからな。ニンゲンの金には興味がない。といっても地上に居る間は必要ではあるのだが。もう帰るからな。」


とのこと。で、もう帰るんだ?


「今日一日で、貴様が成長するのを見届けたからな。」


どうやらドラゴンの幼生の保護者になったことで、女神レベルがかなり上昇したらしい。何の実感もないけど。セリカ先輩曰く。


「おねしょしないくらいには成長したんじゃないか?」


失礼だな。おねしょはしてないぞ。まだ。

まあ、人類の6歳児程度にはなったんじゃないの?とのことだ。6歳児ならおねしょしてもよくない?


そんな事を話しているうちに、痛車はワワンサキに着いた。


「では、我はこれで失礼する。もし、我が必要なことがあれば呼ぶがいい。」


などと言い残して、悪魔ポチは痛車で去って行った。どうやって呼べばいいのか教えてからにして欲しかった。というか、あいつは別に要らないので、痛車でいいから車置いて行って欲しかったな。


まずは今夜の宿を確保だ。温泉宿を発見したので、チェックインした後、食事をするためにギンロウ街という名の商店街を散策する。遅い時間だったので、宿の夕食はもう無かったのだ。この辺りは夜の街らしい。定食屋の類よりも、居酒屋が多く、そのうちの一軒に入ってみたら最悪だった。料理が出てくるのが遅い上に違うものを持ってくるし、味もひどいし、店員の態度もよろしくない。とどめに、会計でぼったくられた。


「ここは観光や出張で来る一見さんがほとんどなのでしょうね。リピーターが来なくてもやっていけるのか、好き勝手やってるわね。」


とはクリームの解釈。都会の仁義の無さは異世界も現代日本も変わらないんだね。

なお、ドラゴンの幼生は、人と同じ食事を食べるそうだ。「お肉よりお魚」と言っていた。おみくじの結果をすべて回収できました。


食事を終えて宿に戻り、大浴場で温泉を堪能した後は、早々に寝ることにした。明日のパンツが無いが、明日のことは明日考えよう。今日は、というか今日も疲れたよ。


翌朝、おねしょをすることもなく目覚める。

朝食は宿で出されたものを食べた。海苔と納豆うまい。

もう一度大浴場で温泉を堪能しつつ、今日の予定について相談。


「まずは銀行ね。ドラゴン金貨を150枚両替しましょう。現金は、各自の口座を作って入れておきましょう。クレジットカードも作りましょうか。」


放っておいてもクリームがいろいろ考えて仕切ってくれる。金貨150枚ということは、現金にすると6,000万円。ひとりあたり2,000万円。大金過ぎるのでは?と思ったけど。金貨のままだと預けることが出来ないので、現金化するのだという。貸金庫というのもあるけど、貴重品を預けると無くなっちゃうんだそうだ。なんのための貸金庫なのか?

でも、150枚を1度に両替するのは多くないのだろうか?


「ここは首都だから。外貨との交換レートを決めているような大手の銀行の本店があるわ。そこなら個人でも150枚は大丈夫だと思う。それ以上だと、そこでも厳しいだろうけど。」


なるほど。この辺は、現地人であるクリームに任せる他はない。セリカも、この200年の間、「明日のパンツと、ちょっとお金があればいい」という生活だったので、経済には疎いそうだ。今日からは、「明日のパンツと、大金があればいい」になるわけだが。2,000万円というのは、この国の平均的な庶民にとっては、10年以上かけて稼げるかどうかの大金である。


銀行に行くと、ちょっと豪華そうな応接室に通された。金持ちが優遇されるのは、この世界でも共通か。こちらは幼女なので囲い込みの目的もあるだろう。知らんけど。

応接室で、あれこれと手続きをすること1時間弱。大半は、投資先のセールストークだった。

クレジットカードは即日発行で手渡された。金属のプレートにカード番号がエンボス加工され、裏面に署名をした前時代的なもの。金属は銅だった。預金額がもっと増えると、金のカードになり、その上はプラチナになるそうだ。さらにその上もあるとかないとか。その辺の仕組みは前世の世界と似ている。

カードは家族カードも発行してもらった。メイドさん用だ。クリームも同様にアンのカードを発行してもらっていた。


なお、幼生ドラゴンについては口座もカードもなし。なにしろ人の世を、わし以上に知らないので、まずはいろいろ覚えてもらうことからだ。現状では、学園に一緒に入っても、授業についていけず、集団行動も出来ないだろう。学園に入るまでに、人の世に慣れさせないと。


次は、お部屋探しだ。学園に入学すれば寮に入るので、それまでの5か月間の仮住まいだけども。賃貸契約の際には、先程作ったクレジットカードが保証人の代わりになるそうだ。銅のカードでも、その威力は絶大で敷金の免除までされるという。

不動産屋で、3件ほど物件を見繕って貰う。内見はアンだけで行って貰った。家事全般をするのはメイドさんだし、幼女4人の意見を聞いていたら、きっと決まらないので。

うちのメイドさんは、女神の護衛があるので、幼女達と一緒に喫茶店で待機。パフェうまい。


アンが、内見の後、契約も済ませて合流したので、新居に移動。荷物は手持ちのものがすべてなので、引っ越し作業といえるものはなし。


首都ワワンサキでの幼女4人とメイドさん2人の生活が始まった。

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