第四章 偶然とお家デート
第56話 夏って、暑いんだね
暇。そう、暇なのだ。
いや、正確には暇ではない。まだ積んであるライトノベルも数冊残っているし、やろうと思えばどうにもなるのだが。
違う。今求めているのはそういうのではない。
俺は読みかけのライトノベルを放り、寝間着から外出用の服に着替える。
そして、部屋で冷気を噴出しているクーラーくんの稼働を停止させる。
とりあえず、部屋のドアを開けてみる。
とりあえず、俺はドアを閉めた。
……暑い。暑すぎる。
何処かには行きたいが、暑すぎる。俺の周りにだけでいいから、冷気を纏えないかな。などとそんな事を考えたくなってしまうぐらいには暑い。尋常じゃないぐらい暑い。ホカホカだ。
とりあえず、クーラーくんの電源をオンにする。
不可抗力というやつだ。どうしようもない。だって、暑いもんね。
ただ、このまま早でくつろぐというのもせっかく着替えたのが無駄になりそうな感じがして、それはそれで嫌なのだ。
しばし熟考した後、灼熱地獄に出ることを決めた。
✕ ✕ ✕ ✕
暇。とにかく暇。
というか、暇すぎてなにもすることがない。
外に出ようかな。なんて考える。
とりあえず、ドアを開けて、外の温度を確かめる。
……………。
とりあえず、ドアを閉める。
現在の時刻は二時。暑さもピークの時間帯だ。しかたない。
もう、どこか行くのやめようかな。
そんなことを考えるのも仕方ないことだと思う。
かなり暑い。いや、わかっていたけど。薄々どころかしっかりわかっていたけど、いざ現実を突きつけられると、やっぱりやめようかなあ。なんて気になってくる。
これは私の生存本能の根幹に関わる問題だと思う。
身体がこのドアの向こうは危険地帯だと叫んでいる。
ただ、ここにいてもできることなんてスマホをいじることしか出来ない。
折角の休みなので、なにか活用したいななんて気持ちもあるのだが。
どうしようかな。とりあえず、のどが渇いてきたので飲み物でも飲むかと思い、身体が危険だと叫んでいるのを抑えながら、ドアを開き、一回に降り立つと、冷蔵庫を開ける。が、そこには飲み物入っていなかった。
仕方がない。水道水で我慢するかと思い、冷凍庫を開ける。
いつもなら製氷されているのだが、そこにある氷は神隠しにでもあったかのように消え失せていた。最悪だ。とりあえず、水道水を少しコップに注ぐ。
……生ぬるい。
だめだな。これは。
とりあえず、外に出るのは確定事項。
近くの自動販売機、何処にあったっけ。
そんなっことを思い出しながら、着替える。
着替え終わると、手提げ型の鞄にスマホやら財布やらをいれると、玄関に降り立ち、ドアを開く。
すると、何故かそこには正也がいた。
…………本当にどうして!?
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