第7話: 迫り来る影
平穏な日々を過ごしていた村に、突然の知らせがもたらされた。それは、盗賊団が近隣の村々を襲っているという情報だった。エリスの語っていた盗賊団の脅威が、いよいよ現実となったのだ。
「ガードンさん、村の入り口に見張りを置きましょう。」
直人は緊張した面持ちで提案した。集会所には、村の主だった者たちが集まり、事態の対策を話し合っていた。
「だが、見張りを置くだけで奴らを防げるのか?」エディが険しい顔で反論する。
「それだけでは不十分です。」直人は冷静に続けた。「村の入り口に障害物を設置して、盗賊団が簡単に侵入できないようにする必要があります。それと同時に、村全体で防衛の準備を進めるべきです。」
「準備といっても、具体的に何をするんだ?」ガードンが尋ねる。
「村人全員で避難計画を確認し、安全な場所を確保しましょう。そして、可能な限り物資を守る方法を考えます。」「まず、村全体で防衛体制を整えましょう。これまでは決められたルールがなく、敵の接近にたまたま気づいた人が周りに知らせるだけでした。そのせいで対応が遅れ、被害が拡大する可能性がありました。しかし、見張り台を設置して敵の接近を早めに察知できるようにすれば、迅速な対応が可能になります。」
直人は計画を立て始めた。「例えば、見張り台を設置して敵の接近を早めに察知できるようにする。これには数名の見張り役が必要です。そして、村の入り口には障害物を設置し、侵入を遅らせる工夫をするべきです。」
村人たちはその提案に耳を傾けた。「具体的にはどうやる?」ガードンが尋ねると、直人はエリスを振り返った。
「エリスさん、地図を使って村のどこに守りを強化すべきか示してください。」
エリスは頷き、用意していた村の地図を広げた。「この南側の入り口は、地形的に防御が手薄です。ここに柵を増設し、見張り台を設置すれば効果的でしょう。また、北側には避難経路を確保しておく必要があります。」
「なるほどな。」ガードンは地図を見ながら感心したように頷いた。「よし、全員で手分けして準備を進めよう。」」
エリスはその言葉にすぐさま反応し、地図を広げながら提案を加えた。「この村の構造を利用すれば、見張り台を作ることで敵の接近を早めに察知できるかもしれません。」
彼女の言葉に村人たちは驚きながらも感心した。直人とエリスの提案は、次第に村人たちの不安を取り除いていった。
その日の夜、村外れで見張りをしていた若者が慌てて駆け込んできた。
「盗賊団の一部らしき連中が村の近くにいる!森の中に隠れているようだ!」
その言葉に村全体がざわめいた。
「どうする?」ガードンが問うと、直人は即座に答えた。「交渉の余地があるかを探ります。その上で、可能ならば村への侵入を防ぎます。」
「交渉だと?」エディは疑念を露わにした。「奴らが話を聞くと思うか?」
「分かりません。しかし、ただ攻撃を待つより、可能性を探る方が村のためになります。」直人の言葉にガードンは頷き、村人たちは彼を信じて準備を進めることに同意した。
翌朝、直人とエリスは盗賊団のいる森へ向かうことにした。二人は村の代表として、盗賊団の意図を確かめるためだった。
「直人さん、本当に交渉で解決できると思いますか?」エリスが不安そうに尋ねる。
「難しいとは思います。」直人は率直に答えた。「でも、これが最善の方法です。そして、もし話が通じない場合は、村全体で防衛を実行するしかありません。」
二人は慎重に森を進み、盗賊団の一行と接触した。そこには10人ほどの荒くれ者たちが集まっており、明らかに戦闘の準備をしている様子だった。
「おい、あんたらは誰だ?」盗賊団のリーダー格の男が声を荒げる。
「この村の代表です。」直人は毅然とした態度で答えた。「村への攻撃はやめていただきたい。もし物資が必要ならば話し合いで解決しましょう。」
リーダーは直人をじろじろと眺めた後、低い声で笑った。「面白いことを言うな。だが、俺たちは話し合いで飯を食えるわけじゃない。」
その言葉に、エリスが一歩前に出た。「あなた方が何を必要としているのかを教えてください。それに応じて条件を提案します。」
盗賊団の中にはエリスの堂々とした態度に驚く者もいたが、リーダーは依然として険しい表情を崩さない。
結局、盗賊団との交渉は膠着状態に終わり、直人たちは村に戻ることとなった。しかし、二人の間には新たな決意が芽生えていた。
「エリスさん、今回の交渉で分かったことがあります。」直人は村に着くなり言った。「彼らは話が通じないわけではありません。次に接触するときのために、こちらから条件を提示する準備を整えましょう。」
「はい。」エリスは力強く答えた。「私もできる限りの手伝いをします。」
二人は再び村人たちと協力し、防衛策と交渉案をさらに練り直すことにした。直人の冷静な判断力と、エリスの柔軟な提案が結びつき、村全体が一丸となって行動する準備が進んでいった。
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