第16話 クウゴロウのモンスター調練

ドラゴン【ヴォレル】

ドラゴン【ドラル】

グリフォン【グリード】

デビル【オメガ】

エンジェル【テメリア】

巨人【タルタロス】

ミノタウロス【デリード】

ゾンビ【バロッス】 


「よーしよし、ドラゴンのヴォレルとドラルは空飛んであの山を破壊しろ」


 2頭の巨大なドラゴンが問答無用で山を焦土と化す。


「グリフォンのグリード、森を走れお前は障害物を避ける方法を考えろ」


 グリフォンが木々を避けながら走る。

 そこに何かの倉があり破壊され、鉱石が散りばめられる。


「デビルのオメガ、エンジェルのテメリア、散らばった鉱石を片端から破壊しろ、それが敵だと思え」


 デビルの闇魔法、エンジェルの光魔法で鉱石が蒸発していく。


「巨人タルタロス。その足で、山を砕け」


 巨人が山を破壊してく。


「ミノタウロスのデリード、ゾンビのバロッスは荷物運びの練習だ」



 全部で8体。

 それがクウゴロウの配下達。

 信頼関係を築きあげるのにとてつもない時間を要した。


 だが彼等が偉大なるモンスターである事は変らないはず。


「よーし後は実践か、ほう、あれは兵士の大軍か、冒険者か? あまり関わらないほうが、って矢が飛んできたぞ、どういう事だ」


 

★ 


「兵士達が駆け付けた時、鉱山は破壊された後で、森にあった倉は跡形もなくなくなり、鉱石や宝石は粉になっていました。これでは我らが収益も悲しく、民が非常にまずい状況でして」


 ガルフは真剣に話を聞いていた。

 いや、それがガルフの何に関係があるのか、理解不能だった。

 そもそもこいつらは父上が死んだとき代理をよこしてきた非情な奴等ではないか。


 だが人間は困ったとき手を差し伸べなければならないと父上に教わった事がる。


「そうですか、ロイガルド、クウゴロウはどこで訓練してるんだ?」


「山岳地帯だそうですよ」


「クウゴロウに魔王を討伐して欲しいんだが、連絡係を頼めるか」


「いや、それならお酒でなんとかなるんじゃ」


「ああ、忘れてた」


「だから無能って呼ばれるんですよ」


「確かにそうかもしれんな」


 その場が静まり帰っているが、ガルフは冷静に脳内でクウゴロウに繋がった。


「クウゴロウ、魔王が現れた討伐してくれないか」


【良いが、今兵士共がうざくってな、殺しまくってんだがよ】


「それがきっと魔王軍の可能性がある」


【それってどこだ】


「山岳地帯らしい、フォボメット領地のはずだが、お前には地理がないだろ」


【こっちも山岳地帯だ、ふむ、この兵士共が魔王軍だとしたら、あの街か】


「おそらくな、滅ぼしてくれるか?」


【もちろんだ】


「ハルガド・フォボメット、朗報があります」


「はい!」


「どうやらクウゴロウが魔王を滅ぼしてくれるそうです。今すぐに、今現在戦ってるそうで」


「そ、それは凄い、ありがたい」


「では、交易の話はアキレスドンと話を通してください、俺はぜひとも魔王とやらを見てきたいので」


「それなら私も行きましょう、将軍身支度だ!」


 かくして、ガルフ、ゼーニャメイド執事長、リンデンバルク執事長、ロイガルド、アキレスドン、ハルガド、メッサー将軍が移動を始めた。



★ フォボメット領地 ★


 ラッサー将軍が口をぽかんと開けていた。

 場所はフォボメット領地。


「ま、まさ、か、魔王がこんな近くにいるなんて! なんなんだあれは、巨人てでかすぎだろ、てか今までどこに隠れていた。そもそもあの巨人は魔王じゃないのか? ラマルド司祭、鑑定スキルでわからんのか」


「そ、それが、全部タダのモンスターでして、ランクはSSSSS級なんですが、魔王ではありません」


「なら、あれは自然災害か!」


「いえ、ジーラが言うには、近くに巨大すぎる力を持ったものがいるそうで」


「ほう、どこだ!」


「それが複数、1つはあの山岳地帯、ですが! さらに複数がこちらに向かってるそうです」


「なんだとおお、魔王が複数いると言う事なのか」


「ジーラが言うには、1つだけ巨大すぎて、ライクド領地より来ているそうです」


「なんだとおおお、それってまさか」


「はい、おそらく、あの豹変領主かと」


「そんな危険な所にハルガド様は向かわれてしまったのか」


「それが、ハルガド様もご一緒にこちらにきているようです、ジーラが言うには、豹変領主はもはや魔王を超えてるそうです」


「……」


「無言にならないでくださいよ将軍」


「メッサー将軍が戻られるまでもつか!」


「無理でしょ」


「諦めるな」


「こちらは1万の兵力。ですがSSSSS級とは1体で国を滅ぼします。世界だって簡単ですよ」


「ふむー」


「ここは近くの森に民を誘導してください、誰かが足止めするしかありません」


「く、ここは1万の兵士で足止めし、民を逃がせ」


「承知」


「ジーラによろしくな、我が娘に」


「はい」


「ラマルド司祭、娘の事、しかと預けたぞ!」


「承知!」


 ラマルド司祭が白い法衣を纏いながら立ち去ると。


 ラッサー将軍は目の前の脅威に向かって、兵士達に告げなくてはいけない。


「皆の物、今宵より命を掛けて、目の前の魔王を倒す。だが無理だから足止めをする」


「だがな、皆、死にたくない物は逃げろ、このわし1人だけでも戦うぞ、メッサー将軍の後釜なんて言われたけどな、それでもわしは戦うぞおおお」


「だから、出来れば、1人でも多く命を投げ出してくれええええ」


 ラッサー将軍が涙を流しながら叫んでいると。


 1人また1人と挙手していく兵士達。


 歓声が爆発的に広まっていき。


「今こそ魔王を打ち破らん!」










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