第14話 リサイクル~リサイクル~
ガルフはゼーニャとのお茶会を命からがら無事終わらせる事に成功した。
現在領主の屋敷にて作戦会議を開いている。
「リンデンバルク執事長、俺はリサイクルガチャがしたい」
「そうですね、リサイクル品を集めている段階でして」
「資源、素材、死体、排泄物、その他にリサイクル出来る物はなんだろうか」
ゼーニャメイド長が少しだけ考えているようで。
「それなら、募ってみてはいかがでしょうか、領民からいらないリサイクル品を出してもらうとか」
「なるほど」
「どうせいらないんだから、出してもらった方がいいでしょう」
「うむ」
色々と決まった所で、領主の屋敷にて領民へとおふれが出される事となった。
集める場所は領主の屋敷の庭だったのだが。
2時間後。
「うーん、集まったねー」
「ですね、いや、皆物凄いの持ってましたな」
リンデンバルク執事長が唖然としている。
庭には武器やら防具やら道具やら家具やらがぶっこまれている訳だが。
「ここはゴミ堆積場じゃないんだがな」
「リサイクル品でしょ」
「あれはなんだ?」
「えーと女性の下着ですね」
「いや、分かってるんだけどさ。普通リサイクルに出すか?」
「知りませんよ」
リンデンバルク執事長が困っている。
「あれはなんだ?」
「えーと、櫓ですね」
「どっから持ってきた?」
「知りませんよ、そもそも櫓をどうやって運んできたのかが謎ですが」
「うーむ」
ガルフは思案気に考える。
「ま、いっか」
「良いんですね」
「リサイクル品をガチャ券にしますか」
リンデンバルク執事長がそれとなく頷いてくれる。
ゼーニャもうなずいてくれているのだが。
「すまんね~」
突如の乱入者。
「お、クウゴロウじゃないか」
「モンスター達の調教が全部終わったんだが、力を試したくてね、ちょっと遊んできていいかい」
「全然良いが、隣の領地を滅ぼすとかはやめてね」
「もう、魔王みたいなことはしないってさ」
「いや、あんた元魔王でしょ」
「ガルフ様みたいに豹変なんてしませんよ~」
「俺はありのままで生きてんだよ」
「ありのまますぎでしょ~」
クウゴロウがどこかにいなくなる。
「ふぅ、神声、ガチャ券にしてくれ」
【承知】
一瞬にしてゴミが消滅。
次にガチャ券が5枚しか出てこない。
「ケチっただろ」
【いや、それくらいが妥当だ。死体よりも価値はないのばかりだ】
「なぜに、死体が価値があるか謎なんだけどな」
【どこの世界にも死体は重宝するぞ?】
「はいはいっと」
ガルフはさっそくとばかりに、ガチャ券を破る事にした。
四角い大きな箱が5個出現する。
Dが4つにAが1つ。
「うーん、微妙!」
D==常夏の剣
D==狂乱の槍
D==武勲の斧
D==熟練の短剣
A==炎王の剣
「今回は武器ばかりですね」
「だなーこれって再リサイクルできんじゃね?」
【嫌な事に気付いたな】
「いらないからまたリサイクルしちゃおうー」
【ガチャ券が8枚だ】
「なんか、ガルフ様がせこいです」
「気にしない気にしない」
またガチャ券を破る事に。
Dが6個にAが2個。
「これって凄くない?」
若干儲かっている。
D==破滅の剣
D==ハヤブサの鎧
D==炎の鎌
D==爆弾の鎧
D==呪いの兜
D==怒りの斧
A==炎王の剣
A==炎王の剣
「よし、リサイクルリサイクル~」
【少し怒りを覚えてきたぞ】
「知りませんよ」
「ガルフ様頭が悪いからといってやりすぎはいけませんよ」
「知りませんよ」
ガルフはある意味自分自身がバカである事を誇りに思っている。
ガチャ券が10枚手に入った。
「ドキドキドキドキ」
Aが10個。
「きたあああああああああ」
1人で盛り上がるガルフ領主。
自分自信で少しだけ空しく感じる事もない事が頭脳が衰えていると言っても過言ではない事を、この時のガルフは知らなかった。
A==炎王の剣
A==炎王の剣
A==炎王の剣
A==炎王の剣
A==炎王の剣
A==炎王の剣
A==炎王の剣
A==炎王の剣
A==炎王の剣
A==炎王の剣
「これは、炎王に恨まれてるのか?」
「炎王と言えば、火炎侯爵を知っていますか?」
「フォボメット領地の開祖だろう?」
「そうです。現在のハルガド・フォボメットの祖父と言ったところです。火炎侯爵と呼ばれたのはいつも冷静沈着なのに怒ると火炎のようだと言う事からですが」
「そうか、俺みたいだな」
「いえ、ガルフ様は怒ると言うかは、ただ狂ってるだけです」
「ひどいなー俺だって怒るときは怒るんだぜ?」
「ガルフ様の場合、怒るではなく豹変してるだけです」
ゼーニャがぴしゃりと叩きつけるように呟いた。
「もう、炎王の剣揃えておくかな」
【同じ種類の武器が10個あるので、コレクション要素が解放されました】
「お」
【コレクション画面を開けます】
「そんなもんあるのかよ」
ガルフは目の前に透明な板が出現するのを確認した。
どうやら他の2人にも見えているようだ。
「えーと、炎王の剣10個で炎耐性がつくみたいですね」
「そりゃー助かるな、でもこの世界の人間には1人1個のスキルだろう? 他世界の人は例外だろうけど」
【コレクション要素はスキル概念ではなく、コレクションで得られる能力の事です。なのでスキルではありません、コレクションに登録すれば、その道具等は消えますが。外してしまえば出現します。そうすると能力が解除されます】
「へぇ、いいねーこれでガチャ要素が楽しくって、お前、リサイクルさせないためだろ」
【それはあなた次第だと言う事です】
とりあえず。炎王の剣10個をコレクション登録する事にした。
体に赤いオーラみたいなものが出現した。
そこへ賢者ナタリーがやってくる。
「お、いいね、俺に魔法をぶちこんでよ」
「な、なんでですかー」
賢者ナタリーに事の事情を説明すると。
「へぇ、面白そう」
賢者ナタリーは容赦なくファイアーボールをぶち込んできた。
ガルフの全身が燃え上がる。
これで1度死んでいる。
世界樹のジュース効果で1度死んでいるが。
恐らく2度目はないと思う、2度目死ねるようにするにはきっとまた世界樹のジュースを飲む必要がありそう。
「お、いたくねー」
全身を燃やしながら。歩き続ける。
「いいねー」
「良いから消しなさいよ」
「消えねーんだよ」
ゼーニャが心配してくれるが。
「た、大変だー」
「何事?」
「あたなた誤解されるわよ」
「ガルフ様ーってか燃えてるし、まぁ、ガルフ様だからいいや」
「ある意味ひどいな、ババスよ」
「どこぞの領主が交渉にとやってきましたよ」
「そうか、リンデンバルク執事長話を通してくれ」
「承知」
「天使王ババス、君はいつも通り領民に知恵を授けてくれよ」
「わらわに任せろ」
ガルフは燃え盛る体のまま、歩き出した。
「あ、その恰好では」
リンデンバルク執事長が突っ込み。
賢者ナタリーは浮かない顔をしていた。
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