第12話 パーティー追放された5人のいわくつき
ミヤモトは冒険者ギルドの2階支部にて椅子に座り、腕を組んでいた。
現在2階支部は貸し切り状態であり、5人のどこぞのパーティーを追放された問題児SSS級達が集まっている。
1人はなぜか、テーブルの上で正座していて、呪文を呟いている。
年齢は老人より、少し若いおじさんという姿。
背中はびしっと真っすぐになっているし、傍らにはなぜか杖が2本置いてある。
記憶だと魔法使いは1本の杖で十分のはずだ。
名前をセバス。
追放理由はロリ好き爺だが、とても紳士にロリにアタックするので親御さん達が危険視した。
その為、恥ずかしかったパーティーリーダーが彼を追放。
「なんか、大変だな」
追記、ロリ好きだが社交的にアプローチするのみ。
と書類に文字が浮かぶ。
「こいつ、只者じゃない」
遠距離から文字を出現させる方法は普通の魔法使いでは出来ない。
次に2人目の人物。
壁によりかかっている少女。
赤毛の娘であり、大きな眼鏡をかけている。情報によれば老眼鏡とのこと。
年齢は80歳だが見た目は12歳。
周りからロリババアと呼ばれている。
あまりにも小言がうるさく、あまりにも文句がうるさい、子供が10人いるそうだ。
パーティーリーダーはノイローゼになり彼女を追放。
「た、大変だったんだな」
名前をラリィと言うらしい。
次に3人目の人物。
勇者みたいな姿をしている。どこからどう見ても勇者みたいで、ツンツン頭なのだが。
偽勇者とのこと、勇者にコスプレをする事で自らを強く見せたいそうだ。
パーティーリーダーによると、皆に誤解されて大変だから追放。
一応、勇者に負けず最強。
名前をラルスバッドと言う。
次に4人目の人物。
修道女の白い服を身に着けており、もじもじと地面に字を書いている。
あまりにも根暗すぎて、ネガティブの塊だとのこと。
祈りではなく呪いをかけてきそうだからパーティーリーダーは追放したとのこと。
実際祈りで死んだメンバーがいたそうだが、事故らしい。
名前をバリィチャンと言う。
次に5人目の人物。
傭兵と言った所だろう、無骨で逞しく金色の短髪。額当てをしている。
鎧も肩当と胸当てだけで、身軽そうで無精ひげを生やしている。
とても逃げ足が速く、パーティーリーダーを見捨てたので追放。
名前をキャッドと言う。
「問題ありまくりだな」
そこへ、ガルフ領主様がやってくる。
いつもの穏やかな顔つき、笑顔を絶やさず、民受けが良いのだが。
あれで剣を抜くと大変な事になる。一応魔法の剣らしく失くしても戻って来るとのことなので、武器を奪って弱いガルフ様を殺す事も不可能。
この前、1度死んだと言っていたが、きっと嘘なのだろう。
まったく、気のいいひとだと思っていた。
「では、皆、よろしくお願いします。無限ダンジョンにてのキャラバンを設立し、まぁいわゆる中継地点を設立し、資材やら素材を運ぶ拠点を君達にいつも防衛してもらいたい」
全員がガルフ様を見ている。
「何か質問は?」
最初に口を開いたのは。
セバスであった。
「すまんがのう、わしぃは賢者クラスの魔法使いでのう、接近戦はからっきしなんじゃのう、出来ればそこのロリ娘を守りたいんじゃが」
「これはこれは、ありがたい申し出ですのう、あたしはロリ娘に見えますが、年齢は80歳なんじゃのう」
「ほほう、これは失礼、ご婦人でしたか、じゃが、女性を守るのはジジイの仕事じゃて」
「これはこれは、ありがたい事ですじゃ、あたしは拳闘師で爺の接近戦は任せてもらおうじゃないのう」
「ほほう、これは助かる。それでは本末転倒ではござらぬか?」
「おい、爺と婆、ちと話が進まねーんだよ、この勇者様のありがたい言葉を聞け」
「あのー勇者様ならここにいないはずでは?」
偽勇者のラルスバッドが嘘を言うと、修道女のバリィチャンがチャッカリと告げる。
「んだ」
逃げ足自慢の傭兵キャッドが頷き。
「良いか、勇者ってのは人の心に宿るもんだぜ?」
「お主、分かってないな、心に勇者があったとしても、即座に逃げるが勝ちだ」
「だが、逃げた奴が仲間を連れてくる。それが信頼で勇者の心って奴だろ?」
「あーもう、偽勇者と傭兵は静かにして、僕が指揮を執るから、もうダメかもしれないけど」
その場がしばらくの沈黙に包まれると。
ガルフ様が言葉を話した。
「つまり、君がパーティーリーダーになってくれるんですね」
「はい、僕はバリィチャンと申します。ガルフ様」
「今から、バリィチャンがパーティーリーダーだ。皆は覚えておいてくれ」
全員が頷き。
「ミヤモトさん移動しよう、時間がもったいない」
「ああ、だな」
★ 無限ダンジョン ★
相変わらず無限大に広がっている別世界。
そこがダンジョンの塔の中だとは思えず。
恐らく別次元に飛ばされている者だと思う。
ミヤモトはそういう事には詳しくないが。
元々別の異世界にて侍をしていたのでなんとなくそういう仕組み見たいな物は理解しようと思えば。
なんとなく掴めそうだった。
「ここだな」
ガルフ様はアイテムボックスから骨組みのテントを取り出した。
それはウィンダムさんがスキル:立体方程式を使って設計した代物だったりする。
折り畳み式のそれは、上手い具合に組み立てていくと、威厳のある倉庫程にもなり。
ざっと兵糧1か月分は入れて置けるくらいだろう。
今からここにモンスターの素材やら資源から得られた資材を貯蔵していく。
荷運び担当の物がやってきて、それを運ぶのだが、その拠点を守るのが彼等の仕事。
今日、このダンジョンを攻略しているアーザーはいない。
ダンジョン奥深くに潜り、朱雀王か玄武王と戦っているのだろう。
「ミヤモト、役割分担だ」
「おう、じゃあ、セバスとラリィはこの拠点を守れ、ラルスバッドとバリィチャンとキャッドはこの近くにある資源を見つけ出す。安全確保が確認されたのち、領地から収穫班がやってくる」
全員が頷き。
「一応、俺は皆の働きを見ているよ」
ガルフ王が腕組みしている。
頼むからその手に剣を握らんでくれ、ミヤモトの願いはきっと裏切られるのだろう。
そんな事を考えていた。
侍の時代から思いとは描いた通りいかないものだ。
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