第10話 "此処から見上げる星空"

目が覚める佳奈の声がした。「良かった。一輝の目が覚めた!」と嬉しそうに言ってくれる佳奈の姿を見て俺は「凪に逢った。''夢''の中でもあいつ強くて、逢った俺の方が先に泣いちゃって。」と佳奈に伝えたい言葉が多すぎて「大丈夫、今は安静にして。」と佳奈に抱き着かれ「ああ、落ち着いたら全部話すよ。それが俺の偶像でも。それでも凪は佳奈にありがとう!って言ってたぞ!」と俺と佳奈は泣きながらその夜話した。

そして凪のおかげで俺も退院することが出来た。退院当日俺に家族は居ないが佳奈が迎えに来てくれた。佳奈は俺に「今日退院したんだし、お墓参りに行こうか。」と言ってきたので「ああ、勿論」と言い歩き始めた。

お墓のある駐車場に着き俺は「せっかくだから奇麗にして行こう。」と佳奈に言うと「お、良いね。私お線香貰ってくるね。」と言い俺と佳奈は歩き始めた。そおして水を汲みに行くと病室で出会った銀髪の少女が居た。俺は少女に向かって「ありがとう。おかげで最後に凪と良い思い出が出来た。」と言うと「それは良かった。最後は''最小限の悔いでお別れ出来た?まあ聞くまでもないか。」とその少女は翼を広げて「僕はもういくよ。あ、''灯流星群''は今日まで流れるから佳奈と一緒に見な。」とその少女は最後にそんなことを言い消えていった。「お~い、お線香貰ってきたから早くいこう」と佳奈の声がしたので俺も歩き出した。

お墓参りをしていると佳奈が「一輝、少し一人になりたいから駐車場で待ってて。」と言うので俺は「分かった。待ってる。」と言い駐車場に向かった。戻る途中佳奈の声がした。「ねぇ凪、凪の居ないこの世界で私達は生きることにしたよ。辛いことも全部乗り越えてだからね。凪おやすみ。」と静寂に響く佳奈の声はどこか寂しげな声だった。

お墓参りが終わり「まだ本調子じゃないでしょ。だから私が一輝の家で家事するよ。」と佳奈が思ってもいなかったことを言うので「佳奈だって疲れてるだろ。良いのか?」と聞くと佳奈は優しく「うん。」と答えて家に向かうのっだった。夜になり「今日まで流星群が流れるらしい。」と佳奈に言うと「そうなんだ。なら私達もこれを機に進まないとね。」と佳奈はこちらに向き言うので俺は「そうだな。佳奈はしっかりお別れ言えたんだな。」と言うと「ううん、伝えられてないよ。でも私も凪みたいに強くなりたいって思ったの。」と言うので「そうか。それじゃ寒いし戻るか。」と言い家に戻るのだった。そおして俺と佳奈は凪の居ないこの世界から星空を見上げて歩いていく。。


そして、そしてまた寒い雪が降る季節に俺と佳奈は手を取り合い歩いていく。失ったものをこれ以上失わない為にも歩いていく。それが俺と佳奈が凪に出来る最後の恩返しだ。

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此処から見上げる星空 @Yoshida_yurei

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