第15話 撃退
※森岡修視点
「ぼ、ぼく? 」
指を指されたように反応したストーカーの闇野が辿々しい態度で応答する。
「うん。僕だよ」
俺は闇野の返事を肯定する。
「それで俺の疑問を解消してくれないかな?
どうして俺達の後を追跡しているの? 」
俺は闇野を追い詰めるように疑問を2つ投げ掛ける。
「そ、それはたまたま帰る方向が一緒で」
闇野は動揺した様子で適当な感じのする嘘をつく。
「ふぅ〜ん。あ、そう。じゃあもう1つ教えて欲しい。君が最近ずっと田島に視線を向けているのはなぜ? 」
俺はこのゲームをプレイしている。だから闇野が田島をストーカーしていたことは分かっているんだよ。
「そ、それは。えっと…」
俺の疑問に対応できない闇野は視線を逸らし、無言になってしまう。
俺は闇野が無言になったタイミングを狙い、距離を詰める。
「ねぇ? 君、田島のことストーカーしてたでしょ? 」
俺は顔が近づくくらいの闇野のゼロ距離で問う。
「え!、 そ、そんなわけ…」
闇野は分かりやすく両肩を跳ねさせ、視線は逸らしたまま小さな声でブツブツと呟く。
「反応から分かるよ。それともし、このようなストーカー行為を続けるなら学校に言って調査してもらうからな」
俺は意図的に脅し口調を用いる。
「が、学校!? ちょ、調査!? 」
闇野は分かりやすく恐怖を覚えた反応を露見させる。どうやら効果は絶大なようだ。
「ああ。そして、それでもダメなら最終的に警察に協力してもらう予定だ」
「け、警察!? 」
闇野のびびる反応は留まることを知らない。
「うん。もし君がストーカーを辞めなければね。田島に恐怖を与えるような行動をするなら俺は徹底的に君を潰すよ。それだけは覚悟してね? 」
俺は満面の笑顔で闇野に1番恐怖を与えるであろう言葉を伝える。
「!? わ、分かった! もう今後一切ストーカー行為はしない!! 田島さんの顔も何度も見ないから!! 」
最悪の未来を理解したのだろう。闇野はストーカー行為を認めつつ、普段よりも明瞭な口調で今後一切やらないことを俺の前で宣言する。
「もの分かりが良くて助かるよ。言質取ったからね。もしもう1回同じことをしたら。分かってるよね? 」
「は、はい〜。も、もちろんです」
闇野は最終的に敬語で返事をすると、この場から一刻も早く逃げるように踵を返して駆け足で俺の前を後にした。
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